「仕入れ先に対して1500億円の還元を進めている。当社の購入単価は上がっている。おしなべて10%くらいの値上げだ」。デンソー取締役で経営役員の松井靖氏が、決算会見でこう明かした。
電子部品を中心とした部材費や物流費、エネルギー費などの高騰影響の対応について、2023年2月3日に開いた同年3月期(2022年4月~2023年3月)第3四半期の会見で説明した。
1500億円は、デンソーの年間調達額の10%弱に相当する金額である。このうちデンソーとしては、電力使用量を減らす省エネルギー化や材料使用量の低減などによって「200億~300億円圧縮した」(同氏)。それを除いた分は「自動車メーカーに負担してもらえるように話し合いを進めている」(同氏)という。進捗率は「9割ほど」(同氏)で、「一部は来期(2024年3月期)にずれるものがあるが、適切に価格反映できそうだ」(同氏)とした。
デンソーは2022年末、下請け企業などとの間で原燃料費や人件費といったコスト上昇分を取引価格に反映する協議をしなかったとして公正取引委員会から指摘を受けている。その点について松井氏は、「公取から厳しい指摘をいただいたのは痛恨の極み。襟を正して率先してやっていたつもりだったが、隅々まで行き届いていなかった」と述べた。