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 欧州で新型車の環境性能を評価する消費者団体「Green NCAP」は2023年2月2日、2022年に評価したモデルの中でルーマニアDacia(ダチア)の電気自動車(EV)「Spring」が最も環境への影響が少ないモデルに選ばれたと発表した。Springは5つ星評価を獲得し、米Tesla「Model 3」やスペインSeat「Cupra Born」といった他のEVの評価を上回った。

Dacia Springの評価サマリー
Dacia Springの評価サマリー
(出所:Green NCAP)
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 DatiaはフランスRenault(ルノー)グループの自動車メーカーで、Springは2021年から発売開始したコンパクトSUVタイプのEV。容量27.4kWhと小型の電池しか搭載していないが、その分、200万円台で購入できるのが魅力で人気を集めている(航続距離はWLTPモードで230km)。車重が970kgと軽く、モーターの最高出力も33kWと小さいため「電費」が非常によく、それが今回の評価に結び付いたようだ。

 Springは、4つのテストのうち3つで満点を獲得し、エネルギー消費量はGreen NCAPの基準値よりも低くなった。他のEVと同様に「クリーンエア」「温室効果ガス」で最高点を獲得し、「エネルギー効率」ではこれまでで最高の9.8点を達成した。また、充電した電力の89%を出力でき、充放電プロセスが効率的であることも示された。

Dacia Springは補助金付きなら100万円台で購入可能な欧州地域もある
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(写真:Renault Group)
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 総合得点はSpringが9.9点で首位、次いでModel 3が9.8点、中国・蔚来汽車(NIO)の「eT7」とフランスRenault「Megane E-Tech」、「Cupra Born」が9.6点となった。このほかドイツAudi「Q4 e-Tron」と韓国現代自動車「IONIQ 5」も5つ星を獲得している。総合得点でSpringと他のEVとの決定的な差は「エネルギー効率」だとする。他のEVはこの項目で上位に食い込めなかった。例えばIONIQ 5のエネルギー効率は9.1点にとどまり、総合得点を下げた。こうした結果から、Springは有害物質の排出がないだけでなく、エネルギー消費量が少ないため、環境に最も優しいモデルであると評価された。

 このほか、新たに4車種の評価結果を発表した。試験したのは韓国起亜自動車「Picanto」、ドイツBMW「2シリーズ Active Tourer」、ドイツVolkswagen「Touran」、ドイツOpel「Mokka」の4車種で、Mokkaのみディーゼルエンジン車、ほかはガソリンエンジン車となる。PicantoとMokkaが3つ星、2シリーズ Active Tourerが2.5星、Touranが2つ星となった。