PR

 日本電気(NEC)とケニアのケニア中央医学研究所、長崎大学熱帯医学研究所は2023年2月7日、ケニアで実施中の生体認証に関する実証試験の有用性が確認できたと発表した。新生児の指紋認証と保護者の声認証を組み合わせて新生児の本人確認をし、ワクチン接種の履歴と計画を管理するというもの。NECによれば病院でのワクチン接種時に、新生児の本人確認を生体認証で実施するのは世界初だという。

 システムの特徴は、新生児の左右の親指と人さし指の計4指の指紋画像を文様(渦の形)を基に5種類に分類し、その文様の情報を登録する点である。実証試験に当たり、事前に新生児50人の指紋を撮影して文様の組み合わせを調査したが、同じ4指の文様の組み合わせはなかった。この文様による分類と保護者の声認証を組み合わせることで、新生児の本人確認の精度を高めたという。

 本実証試験を進める背景には、新生児は出産時のケア方法などの状況により、指紋を精緻に撮像できないということがある。このため従来の指紋認証では、新生児の本人確認が難しかった。本試験では声認証と文様を基にした指紋認証を組み合わせて解決を目指す。2022年9月から2023年3月までの実施を予定する本実証試験は、参加を希望する約1000人の保護者と新生児を対象としており、2022年11月末時点で約300人がデータの登録を済ませた。実証試験を実施する3者は今後、実証試験の実施先であるケニアのクワレ群キナンゴ病院だけでなく、ケニア国内の他の病院や他国への展開も検討している。