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 三菱ケミカルグループは2023年2月7日、2023年3月期第3四半期の決算を発表し、材料関連の事業では「ディスプレーや家電向け需要や市況の低迷による悪影響があるのに対し、価格転嫁活動やコスト削減で軽減に努めている状況」と明らかにした。第3四半期までの累計で売上収益は前年同期比17%増の3兆4062億円になった一方、英キャッセル工場閉鎖や、バイオ医薬品を手掛けていたカナダMedicago(メディカゴ)の事業撤退による清算などの減損により、第3四半期までの税引き前利益は前年同期比81%減の392億円になった。

 同社の事業分野のうち、フィルムや材料を扱う「機能商品」セグメントについては、「フィルムズ&モールディングマテリアルズ」サブセグメントが主要市場であるディスプレーの需要の大幅な落ち込みを受けて減益になった。ポリエステルフィルムやOPLフィルムなどの光学用フィルムが特に減少した。

 ただし、半導体用途などのエンジニアリングプラスチックは欧米を中心に堅調で、価格転嫁を進めた。「ポリマー&コンパウンズ」サブセグメントでは、リサイクル性のある食品包材用途などが好調で、「アドバンストソリューションズ」サブセグメントでも半導体関連の精密洗浄サービスや高機能薬液などが好調だった。機能商品セグメント全体のコア営業利益は前年同期比6%減の541億円だったが、アクリル繊維事業を売却した影響を除けば6%の増加になるもよう。

 化学品を扱う「ケミカルズ」セグメントでは、アクリル(PMMA)のMMA(メタクリル酸メチル)モノマーの需要と市況が低迷し、コア営業利益は642億円減って、前年同期比77%減の193億円になった()。ある顧客では家電向け透明プラスチック用途の需要が前年の半分以下、建材やディスプレー用のシート向け需要は3分の2程度にとどまるという。

図 「ケミカルズ」セグメントのコア営業利益増減
図 「ケミカルズ」セグメントのコア営業利益増減
売買差(販売価格と仕入れ価格の差)、数量差ともに落ち込んだ。(出所:三菱ケミカルグループ)
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 コスト削減は第3四半期までに303億円を達成し、年間の削減予定額320億円に対して95%の進捗になった。生産設備の定期修繕についてDX(デジタルトランスフォーメーション)による費用削減が成果を上げた。非経常項目として、MMAを生産していたキャッセル工場閉鎖関連の損失707億円、メディカゴ精算関連の損失480億円を第3四半期に計上。この2つによる来年度のコスト削減効果は400億円程度になる見込み。