2020年度末までに損失処理を終了し、新しい損失はほぼ無い――。三菱重工業は2023年2月7日、国産旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発中止を発表。同社CFO(最高財務責任者)の小澤壽人氏は、同日開催した2022年度第3四半期(2022年4~12月)の決算説明会で、業績への影響についてこう説明した。
2008年に事業化したMSJの累計開発費は約1兆円とも言われる。一大プロジェクトからの撤退で揺れる三菱重工だが、業績は堅調に推移している。
売上収益は前年同期比11.1%増の2兆9380億円。事業セグメント4部門のうち、「エナジー」「物流・冷熱・ドライブシステム」「航空・防衛・宇宙」の3部門で増収だった。本業のもうけに当たる事業利益は同30.3%増の1052億円。材料費や輸送費の高騰、半導体不足の影響はあったが、売り上げ増加と円安の影響で利益を押し上げた。
受注高は、前年同期比19%増の2兆9661億円。特に、主力のエナジーセグメントのうち、GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)の受注が同57%増の5368億円となり、受注増をけん引した。唯一、「プラント・インフラ」セグメントでは受注を若干減らしたものの、同セグメントの主力である製鉄機械の受注は前年同期と同水準だった。
2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の連結業績予想について、売上収益は前年同期比6.2%増の4兆1000億円、事業利益は同24.8%増の2000億円を見込む。これまでの予想を据え置いた。