公共交通機関の少ない地域に住む高齢者などにとって、買い物や通院などのための交通手段の確保は大きな課題だ。その解決策の1つとして期待されるのが、ドローン配送である。セイノーホールディングス(セイノーHD)と群馬県安中市、エアロネクストは2023年2月8日、安中市でドローン配送の実証実験を行った。安中市の3カ所を結んで農産物や弁当、処方薬を運び、常時積み荷を空にすることのない一連の「チェーンドローン配送飛行」を実施した。

 実証実験では、旧九十九小学校をドローン発着の起点・終点とした。まず旧九十九小学校からゴルフ場まで野菜を配達した。その次に、配達した野菜などを使って調理した弁当をゴルフ場から病院まで運んだ。そして、病院からは薬と食料品や日用品を載せて旧九十九小学校に戻った。あらかじめオンライン診療とオンライン服薬指導を行って処方した3人分の薬を、国土交通省の「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」に従ってドローンで届けた。

実証実験におけるドローンの経路
実証実験におけるドローンの経路
(出所:セイノーホールディングス)
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 ドローンは住民や歩行者のいない無人地帯で目視外飛行を行う「レベル3」で飛行した。チェーンドローン配送飛行のほかにも、処方薬と買物代行の商品の混載、産直品の集荷・加工・納品・販売の連携など、新規の試みを複数実施したという。

 セイノーHDと安中市、エアロネクストが2022年10月に締結した「ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定」に基づいて実証実験を実施した。実証実験に使用する機体は、ドローンメーカーのACSLとドローン技術を持つエアロネクストが共同開発した物流向けドローン「AirTruck」を利用した。