デジタル庁と厚生労働省は2023年2月17日、接触確認アプリ「COCOA」の総括報告書を公表した。アンケート調査から、利用者の7割以上がCOCOAの導入目的である行動変容につながったことが明らかになり、「一定の効果が確認できた」(デジタル庁担当者)とまとめた。
COCOAは新型コロナウイルス感染症患者の全数届け出見直しに伴い機能停止することになり、2022年11月17日から最終アップデート版を配布。2023年3月までにサーバー運用を停止しシステム運用全体を停止する。
公表したのはデジタル庁と厚労省の「接触確認アプリCOCOA の運営に関する連携チーム」が取りまとめた「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の取組に関する総括報告書」である。開発や政策評価、感染症対策などの行政や民間の関係者十数人にヒアリング、最終アップデート版を通じた約303万件の提供データ、調査会社を通じた利用者アンケート結果などを取りまとめた。
COCOAはアプリで個人情報を収集しないため利用実態が不明だったが、利用者アンケートから初めて利用状況や効果が明らかになった。約2万人の調査パネルのうち約3割に当たる6000人がCOCOAを利用、このうち74.1%が「通知を受けとった時に、何らか普段と異なる行動を取ろうとした」と回答し、COCOAの導入目的である接触通知を通じた個人の行動変容について同報告書では「『個人に他人との接触を避ける行動を促す』効果をCOCOA はもたらしたと言える」とまとめた。
同報告書作成の狙いは、次のパンデミック発生時などにCOCOAの経験を生かすことである。同報告書の最後に「感染症対応に新たなデジタル技術の活用を検討する際に留意すべき事項」「平時から準備をしておくべき事項」をまとめたが、「今後政策として進めていくことに向けての提言で、具体的には今後検討する」(デジタル庁担当者)とするにとどめた。
COCOAは2022年11月16日までで約4128万件ダウンロードされ、約369万件の陽性登録があった。開発・運用の総費用は12億7000万円。2021年2月にはAndroid版のCOCOAで、陽性登録したアプリ利用者と接触しても検知しない障害が4カ月以上見過ごされていたことが明らかになり、同年4月に厚労省が事実関係の整理と再発防止に向けた報告書を公表していた。