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 NECは、多数のカメラ映像のリアルタイムかつ高精度な分析を可能にする技術「アプリケーションアウェアICT制御技術」を開発した(図1)。ICTリソースを効率的に活用したデジタルツインの実現により、生産性を高める施策の立案や不安全行動に対する注意喚起が容易になる。

図1 従来技術(左)と「アプリケーションアウェアICT制御技術」(右)による映像分析の比較
図1 従来技術(左)と「アプリケーションアウェアICT制御技術」(右)による映像分析の比較
(出所:NEC)
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* NECのニュースリリース: https://jpn.nec.com/press/202303/20230302_02.html

 新技術は[1]重要領域予測技術、[2]ダイナミック負荷分散技術、の2種類の人工知能(AI)技術から成る。[1]によって大量の映像データから分析すべき領域を抽出し、[2]で分析処理をエッジデバイスとクラウドに振り分ける。これにより、処理能力や通信帯域が限られた環境でも映像分析がしやすくなる。

 [1]は、カメラ映像から映像分析AIで処理すべき領域(重要領域)を自動で抽出する技術(図2)。映像内の人や物、地面、背景、それらの境界といった領域単位で映像分析精度への影響を学習し、処理すべき領域単位で重要度を予測する。この学習は、映像分析AIに入力する映像を変化させた場合の分析結果の変化だけに基づき、映像分析AIの種類や内部処理方法には依存しない。そのため、行動認識や物体検出などのさまざまな映像分析AIに適用できるという。

図2 「重要領域予測技術」のイメージ
図2 「重要領域予測技術」のイメージ
(出所:NEC)
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 [2]では、映像内の領域ごとの重要度や処理・通信負荷に応じて、処理を動的に割り振る(図3)。エッジデバイスの処理負荷やクラウドに処理を転送する際の通信負荷をリアルタイムに予測し、[1]で判断した重要度の情報と組み合わせて、処理能力と通信帯域を超えないように領域単位で割り振りを実行する。

図3 「ダイナミック負荷分散技術」のイメージ
図3 「ダイナミック負荷分散技術」のイメージ
(出所:NEC)
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 生産性向上や安全性向上を目的に物流・製造・建設現場でデジタルツインを実現するには、設置場所の制約やレイアウト変更にも対応できるようにエッジデバイスを小型化したり、通信を無線化したりする必要がある。しかし、現場の状況の変化によって映像分析AIの処理量が増大すると、小型のエッジデバイスでは処理能力が不足するケースがある。その場合はクラウドに処理を割り振るが、その際、カメラの数が増えたり電波状態が悪化したりすると無線通信の帯域が不足する恐れがあった。新技術により、こうした課題を解決できるという。