米Ford Motor(フォード)は2023年3月2日、自動運転システムを開発する完全子会社Latitude AI(ラチチュードAI)を設立したと発表した。フォードはドイツVolkswagen group(VWグループ)らと、レベル4自動運転技術の開発ベンチャー、米Argo AI(アルゴAI)に出資していたが、同社は2022年10月に開発を断念して事業を清算した。
新会社のラチチュードAIは、このアルゴAIで機械学習、ロボティクス、クラウドプラットフォーム、マッピング、センサー、システムエンジニアリング、テスト運用、安全工学といった分野に従事していた専門家、550人を引き継いで雇用した。フォードには、すでに5000万マイル以上のハンズフリー走行の実績がある「BlueCruise」を始めとした自動運転技術があるが、新会社はこれらの開発を拡大する。
ラチチュードAIは、商用ではなく個人で所有する一般車向けの自動運転技術に焦点を当てて開発を進めるという。まずは先進運転支援システム(ADAS)を中心に取り組み、ソフトウエア開発ツールやインフラなど、将来、自動運転につながる多くの技術や経験を蓄積する。
交通分析の専門会社、米INRIX(インリックス)によると、米国の平均的なドライバーは年間100時間近くを、渋滞でただ座っているだけの時間を過ごしているという。ラチチュードAIは、こうした渋滞時や高速道路での長距離運転を、ハンズフリーだけでなくドライバーによる道路監視を必要とせずに自動化する技術の開発を目指すという。