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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、風速を計測できる「超広帯域電波デジタル干渉計(SAMRAI)」を洋上風力発電分野で利用するために、グリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)と協定を結んだ。この協定を機に、JAXAとGPIは従来に比べて高精度な風況マップを作成し、洋上風力発電に適した場所を効率的に選定できるか検証していく(図1)。

図1 風況マップのイメージ
図1 風況マップのイメージ
(出所:環境省)
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 発電事業者は洋上風力発電の適地を選定する際、複数の風況マップを使って評価する。風況マップには、年間の平均風速や最大風速、時間ごとの風速などの情報が存在する。環境省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している風況マップや市販の風況マップが存在するものの、精度がバラバラで、効率的に風況を評価するのが難しかった。そのため、高精度な風況マップが求められてきた。

 そこで今回、SAMRAI技術を持つJAXAと、陸上風力発電所の開発実績や風況観測のノウハウを持つGPIが協業して、広域かつ高精度な沖合の風況マップ作成に取り組む。このマップを利用することで、洋上風力発電に適した場所を短期間に選定する。これにより、洋上風力発電所の建設までの期間が短縮されて、コスト削減につながるとみている。

 洋上風力発電分野だけでなく、気象観測や船舶検知など様々な用途に向けて、SAMRAIの検証を進めている。現在、航空機に搭載して実証実験中である。2026年度に、SAMRAIを搭載した人工衛星を実証機として打ち上げる予定だ。