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 サイバーセキュリティー企業カスペルスキーのユージン・カスペルスキーCEO(最高経営責任者)が3年半ぶりに来日した。日本法人が2023年3月16日に開催した記者説明会で登壇し、「2022年は非常に困難な1年だったが、成長した地域もあった」と述べた。

3年半ぶりに来日したユージン・カスペルスキーCEO(最高経営責任者)
3年半ぶりに来日したユージン・カスペルスキーCEO(最高経営責任者)
(写真:日経クロステック)
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 カスペルスキーはロシアを出自とし、日本を含む世界各国でマルウエア(悪意のあるプログラム)対策ソフトなどを販売する。近年は安全保障上の懸念を理由に、同社製品の利用を制限する動きが欧米諸国の政府機関で相次いだ。地政学リスクへの懸念から、日本でも製品の利用の中止を検討する企業などが出た。

 さらに2022年にはロシアによるウクライナ侵攻が発生。カスペルスキーは現在は持ち株会社制を敷き本社を英国に置くものの、ロシア系企業として影響は避けられなかった。同社の米国や欧州での2022年の売り上げは前年との比較で縮小した。カスペルスキーCEOが非常に困難な1年だったと2022年を振り返ったのはこのためだ。

 ただしカスペルスキーCEOは、「他の地域の成長によって補完できた」とも話し、経営は安定していると強調した。また、「新型コロナウイルス禍の時期を含め、製品開発には全く支障がなかった」(カスペルスキーCEO)。SIEM(セキュリティー情報イベント管理)や次世代ファイアウオール、コンテナ向けのセキュリティーといった企業向け製品の開発に力を入れてきたと話し、今後の事業拡大に意欲をにじませた。