NECは、海底に埋没する機雷を探知できる低周波合成開口ソーナー(LF-SAS)を防衛・セキュリティー関連の展示会「DSEI Japan 2023」(2023年3月15~17日、幕張メッセ)に出展した。三菱重工業が製造する水中無人機「OZZ-5 自律型水中航走式機雷探知機」向けに供給しているもの(図1)。諸外国にはあまり例を見ない技術という。
OZZ-5は2種類のソーナーを装備しており、このうちNECが供給しているのは周波数の低いほう。通常の機雷探知用ソーナーで使う数百Hzの音は、海底面の機雷や、海底からワイヤなどで係留される機雷(係維機雷)は探知できるが、海底の泥などに埋没している機雷は探知できない。低い周波数の音を使うと、分解能は低いものの埋没している機雷からの反射波も検知できる。このためOZZ-5では2種類の機雷を併用する。
長い筒状のOZZ-5の側面に送受波部があり、送波部からは斜め前方、正横、斜め後方の3方向に音を出す。それぞれ機雷からの反射音を検知し、機雷の形状が細長い場合でも3方向のどれかでは長手方向が見えやすい向きになる効果を期待する。この3つの見え方をそれぞれ赤、緑、青の「光の3原色」の画像にして合成し、機雷の向きが認識しやすくなるよう工夫している(図2)。人工知能(AI)技術による自動ターゲット認識(ATR)機能を組み合わせることも可能。
OZZ-5の高周波合成開口ソーナー(HF-SAS)はフランスThales(タレス)製であると知られており、LF-SASはNEC製であることが明らかになった。DSEIのブースで上映した説明ビデオでは海上自衛隊での実績を訴求。次世代掃海用艦艇の要素技術として売り込む。