キヤノンは、薄型・軽量な力覚センサー(フォーストルクセンサー)「FH-300-20」を2023年4月中旬に発売する(図1)。力3軸とモーメント3軸の6軸分を1台で検出可能で、物体を動かす際の荷重や回転させる力の大きさ・方向を測定できる。微小な動きを検出できるので、細かな力加減が必要なロボットアームなどに向くとしている(図2)。
* キヤノンとキヤノンマーケティングジャパンのニュースリリース外形寸法は直径88mm×厚さ約20mmで質量は約250g。自社開発の光学式エンコーダーを採用し、複数のエンコーダーを同一の電気基板上に配置して薄型・軽量化した。併せて、低ノイズ化によって微小な動きの検出を可能にした。
アルゴリズムの工夫によって応答性も高めた。ロボットアームのシステムからの計測要求に約300μ秒で応答する。高速制御が可能で、部品の挿入やギアの組み込み、研磨など、従来は人手に頼っていた繊細な作業の自動化が期待できる。
力は±300N、モーメントは±20Nmの検出が可能だ。防じん・防滴構造は、国際電気標準会議(IEC)が定める保護等級で「IP65」に適合する。使用には、別売りの専用ケーブルが要る。
介護・ヘルスケア分野にも展開へ
高精度検出と高速応答が可能なFH-300-20は、生産関連以外に介護ロボットやヘルスケア機器への応用も期待される。青山学院大学理工学部機械創造工学科知技能ロボティクス研究室は、ロボットを活用したマッサージシステム「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」にFH-300-20を採用した(図3)。
* 2023年3月14日付、青山学院大学のニュースリリース同システムは、ロボットによるマッサージによって「心身を健康・幸福にする」を目指すものだ。同研究室は、人に触れられたり触れたりするとストレスや不安が軽減されることに着目。ロボットがマッサージや理学療法を通してその人の心身の状態を推定するとともに、状態の遷移を意図してセラピーを提供するケアロボット技術の開発を進めている。
その具体例として、FH-300-20を用いたロボティックベッド(ベッド形ロボット)を製作した。研究室は、豊橋技術科学大学やキヤノンと共同で「Careテクノロジー東京’23 第6回次世代介護テクノロジー展」(2023年3月22~24日、東京ビッグサイト)に出展し、ロボティックベッドを提案する。