PR

 NECと大阪府豊中市は高齢者向けに新たな介護予防サービスを2023年4月3日から始める。身体機能や食習慣、社会参加の度合いなどのデータを収集し、これらの現状を見える化する。高齢者本人の予防意識を高めるだけでなく、地域ごとの特性などを分析し、自治体の介護予防事業の施策立案にも役立てる考えだ。

NECと豊中市が取り組む介護予防事業のイメージ
NECと豊中市が取り組む介護予防事業のイメージ
(出所:NEC)
[画像のクリックで拡大表示]

 新たに始めるサービスでは、通所訪問型短期集中サービス参加者を対象とした体力測定会などで、健康チェックシートに基づく問診と体力測定を実施する。特徴的なのが、歩行姿勢を3Dで計測するNECの独自技術「NEC歩行姿勢測定システム」を導入し、歩行速度や歩幅などを測定する点だ。問診票のデータと合わせて最大約70項目のデータを収集する。こうして収集したデータを基に、各自の現状を分かりやすく伝える「当日フィードバック帳票」を作成し、その場で本人に渡す。

当日フィードバック帳票のイメージ
当日フィードバック帳票のイメージ
(出所:NEC)
[画像のクリックで拡大表示]

 現在、日本では要介護状態の高齢者だけでなく、そこに至る前である「フレイル状態」(身体的な虚弱状態)の高齢者が増えている。健康寿命を延伸するためにはフレイル段階での適切な対応が重要となる。豊中市は従来、リハビリ専門職が短期的に関与する通所訪問型短期集中サービスを展開したり、自主グループによる「通いの場」づくりを支援したりして、高齢者の健康維持・増進を支えるフレイル・介護予防に取り組んできた。今回、NECのデジタル技術の活用でフレイル・介護予防サービスを拡充し、さらに効果的なものにする。

 2023年中には運動プログラムでの成果を本人やリハビリテーション専門職、ケアマネジャーなどに伝える「成果フィードバック帳票」の提供も開始する予定だ。NECと豊中市はフレイル・介護予防サービスで収集した情報を活用すれば、生活環境や地域ごとの特性による課題の発見が可能になるとしている。データの分析結果という客観的な根拠に基づいた施策の立案に役立てる方針だ。