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 OKIマイクロ技研(福島県二本松市)は2023年3月22日、小型のブラシレスDCモーターを開発したと発表した。製品名は「Thumbelina(サムベリーナ)」。直径12mm、長さ30mm以下、質量20g以下と小型ながらも、同サイズの従来製品と比べてトルク定数*1を2倍に高めた。

*1 トルク定数 単位電流当たりのモータートルク

 工場に約2億円を投じて生産体制を整え、2023年度内には量産を開始する。主にロボット分野での販売を見込み、2025年度に約5億円の売り上げを目指す。

ブラシレスDCモーター「Thumbelina(サムベリーナ)」
ブラシレスDCモーター「Thumbelina(サムベリーナ)」
単3電池(左)と比べると、小ささが際立つ(中央、右)。(写真:日経クロステック)
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 サムベリーナは、いわゆる「インナーローター型」のブラシレスDCモーターに分類される。コイルを巻いたコア(鉄心)を円筒形のステーター(固定子)とし、その内部に複数の磁石からなるローター(回転子)を配置する構造だ。今回、同社は占積率*2を従来の約55%から70%以上に向上させた。占積率が高いモーターほど、体積当たりの出力を大きくできる。

*2 占積率 コイル部の断面積に占める導体の割合

 占積率を高められた理由の1つが、一体コアの狭いスペースに高密度かつきれいにコイルを巻く技術の確立である。

一体コアを採用した
一体コアを採用した
分割コアの場合(下段)、結合部にすき間が生じるとトルクが低下する要因になっていた。(出所:OKIマイクロ技研)
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 一般に、モーターは小型になるほどコアも小さくなるため、コイルは巻きにくくなる。そこで、従来は分割したコアにそれぞれコイルを巻いてから、1個のコアとして組み立てていた。ただ、分割コアの場合、コア同士の結合部にすき間が生じると磁気の通りが悪化するため、トルクが低下するという課題もあった。

 同社は今回、新たな巻き線技術を開発することで、小型の一体コアでありながら分割コアと同等以上の高占積率を実現したとする。