ITRは2023年3月23日、2021年度におけるERP市場の売上金額を調査した結果を発表した。2020年度と比べて16.3%増の1467億円だった。ERPの提供形態をパッケージとSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型で分けると、2021年度の売り上げはパッケージが817億円、SaaSが650億円だった。
パッケージの売り上げは前年度比6%増だったのに対して、SaaSは同32.7%増とSaaSのERPを導入する企業が増えていることが明らかになった。またパッケージのERPを稼働する環境も、オンプレミス(自社所有)と比べてクラウドを利用するIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を採用する企業が増えているという。
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業における営業活動の低下やシステム刷新をはじめ案件の先延ばしなどが発生した。一方2021年度に入ると法制度への改定対応や老朽化したERPシステムの刷新案件が増加。ITRは2022年度も同様の流れが続き、2022年度のERP全体の売上金額は2021年度と比べて12.1%増の1645億円になるとみている。
2021年度から2026年度におけるERP市場の年平均成長率(CAGR)は10.5%で、そのうちSaaSのCAGRは20.5%に達するとITRは予測する。同社はSaaSのERP導入が増えている理由として、ERPの主要ベンダーが導入企業に対して、新規案件でSaaSの販売を推進していることを挙げた。一方で同社は、パッケージ市場のCAGRをマイナス1.2%と予測している。
さらにITRはパッケージERPの稼働環境をオンプレミスとIaaSに分けて2021年度の売り上げを調査した。その結果、オンプレミスが前年度比6.5%減の386億円、IaaSが同20.4%増の431億円と、IaaS環境でERPを導入するケースが増えていることがわかったという。同社の浅利浩一プリンシパル・アナリストは今後のERP市場について「データドリブン経営の基盤として優れているクラウドERPの選択が、今後も増えると予測している」と語る。