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 三菱重工業グループで環境プラントの運転管理を行う重環オペレーション(長崎市)は2023年3月24日、同社が管理する福島県いわき市のごみ焼却施設「北部清掃センター」で排ガスの測定値の改ざんがあったと発表した。大気汚染物質の一種である、排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度をいわき市に日報として報告しているが、市の目標値を上回った過去4件について、超過していない値に書き換えていた。書き換えを行った1人は、社内会議で超過した事実が公開されることを恐れ、報告データを改ざんしたという。

排ガスの測定値の改ざんが発覚した福島県いわき市の「北部清掃センター」
排ガスの測定値の改ざんが発覚した福島県いわき市の「北部清掃センター」
三菱重工業グループの重環オペレーションが、いわき市から委託を受けて運転管理している。同社の担当者が排ガス中のNOx濃度を不正に書き換えていた。(写真:北部清掃センター)
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 焼却炉から出る排ガス中のNOx濃度は、法令で基準値が250ppmと定められている。これに対して、焼却炉の性能などを踏まえ、同社は市と協議の上、法令値より低い50ppmを目標値として設定していた。NOx濃度は専用装置で測定後、データを管理用のPCに転送するようにしており、通常はそのまま紙に印刷したものを市に提出している。今回、システム上のデータと紙の報告書の値に齟齬(そご)があり、書き換えが発覚した。

 ゴミの投入量や組成などにより目標値を一時的に超過することはあるため、超過自体は法令や同市との契約に違反するものではなく、同社がペナルティーを受けることはない。ただし、データの書き換えは不適切な行為だったとし、再発防止に努めるとしている。具体的には、同センターの責任者がシステム上のデータと紙の報告書の整合性を確認する運用に変更した。さらに、データの書き換えができないようシステムの改修も行うとしている。

 いわき市の担当者は、「データを改ざんして報告していたのは、信頼関係を損なう行為である。ただ、(改ざんは組織的なものではなく)あくまで個人によるところが大きい」とし、同社との契約は継続する意向を示した。