日本郵便は2023年3月24日、ドローンを活用した配送業務の実証試験を東京都奥多摩町で実施した(図1)。奥多摩郵便局からおよそ2km離れた配送先まで自動運転で飛行し、質量およそ1kgの荷物を約5分で届けた。第三者上空(有人地帯)を操縦士などが目視できない範囲で飛行する「レベル4」の実証は日本初。

図1 実証試験の様子
図1 実証試験の様子
有人地帯の上空を操縦士が目視できない範囲で飛行する「レベル4」での実証は日本初。(写真:日本郵便)
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 2022年12月5日に施行された改正航空法によって、ドローンなどの無人航空機の機体認証制度や操縦士の技能証明制度、運航に関わるルールなどが整備され、レベル4飛行が解禁された。今回の実証試験では、ACSL(東京・江戸川)のドローン「PF2-CAT3」を使用した(図2)。PF2-CAT3は、国土交通省から型式認証および機体認証を受けている。

図2 ACSL製「PF2-CAT3」
図2 ACSL製「PF2-CAT3」
同機のプロペラを含む外形寸法は1174×1068×601mm。機体の質量は5.53kg。これにバッテリー(3.27kg)と荷物の質量が加わる。(出所:日本郵便)
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 PF2-CAT3の最大積載重量は1.00kg。水平方向の最高速度は36km/hで風速10m/sまで運航できる。今回は、離陸から着陸まで自動運転でドローンを運航した。ただし、不測の事態に備えて一等操縦者技能証明を保持する操縦士が手動操作できるように準備していた。さらに、飛行中に高度が急激に低下したり、機体が一定以上傾いたりすると、自動的に非常用パラシュートが飛び出す仕様という。

 日本郵便は、ドローン配送の実用化に向けた具体的な計画などは未定とした。「郵便局間での輸送や、曲がり道が多く、上空を直線輸送することで時間短縮など利点を生かしやすい山間地域での輸送を優先して検討を進める」(同社)としている。