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 米AMD(Advanced Micro Devices)は、組み込みシステムに向けたマイクロプロセッサー(MPU)の新製品「EPYC Embedded 9004シリーズ」を、組み込み関連の国際展示会「Embedded World 2023」(2023年3月14~16日にドイツ・ニュルンベルクで開催)において発表した ニュースリリース 。Zen 4アーキテクチャーのCPUコアを最大96個(192スレッド)搭載する。CPUコアを集積するCPUダイ(Core Complex Die:CCD)は5nm世代プロセスで造る。

 新製品は、クラウドやエンタープライズ・コンピューティングにおける組み込みネットワーク、セキュリティー/ファイアウオール、ストレージシステム、および工場の産業用エッジサーバーへの搭載を狙う。システムレベルの信頼性や可用性の向上に向けて、新製品はNTB(Non-Transparent Bridging)や、NVDIMM(Non-Volatile Dual In-Line Memory Module)、Dual SPI(Dual Serial Peripheral Interface)という機能や仕様に対応する。また、最大7年間の供給保証がある。

 NTBは冗長構成の2つのMPU間でデータ交換を可能にする機能。NVDIMMは、揮発性DRAMと不揮発性フラッシュメモリーを組み合わせたメモリーモジュールで、システムの電源障害時やリセット時にDRAMに格納されたデータをフラッシュメモリーに移すことで、データの消失を防ぐ。通常時、NVDIMMはRDIMM(Registered Dual In-Line Memory Module)として動作する。Dual SPIは外付けした2つのROMを利用してセキュアーブートを実現する機能である。1つのROMにはBIOSのイメージを、もつ1つのROMにはブートローダーを格納する。

 新製品は最大12個のCPUダイと、1個のI/Oダイを1つのパッケージに収める(図1)。各CPUダイは8個のZen 4コアやキャッシュメモリーを集積している。I/Oダイは6nm世代プロセスで製造し、メモリーコントローラーやPCI Express Gen 5コントローラーなどを集積する。メモリーコントローラーは最大4800M転送/秒でDDR5型DRAMをECC(エラー訂正)付きでサポートできる。対応可能なPCI Express Gen 5レーン数は1ソケット時に最大128、2ソケット時は最大160である。SATAやCXLのコントローラーも集積している。

図1 EPYC Embedded 9004シリーズの構造
図1 EPYC Embedded 9004シリーズの構造
(画像:AMD)
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 EPYC Embedded 9004シリーズは、10モデルからなる(図2)。1ソケット/2ソケット両対応のモデル(製品番号末尾に「P」が付かない)が6つ、1ソケット専用モデル(製品番号末尾に「P」が付く)が4つある。CPUコア数はモデルにより異なり、96~16個。2023年4月に出荷開始の予定である。

図2 EPYC Embedded 9004シリーズの各モデルの主な仕様
図2 EPYC Embedded 9004シリーズの各モデルの主な仕様
(画像:AMD)
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