日本IBMは、ブロックチェーン技術を活用し医薬品の流通経路および在庫を可視化する「医薬品データプラットフォーム」の運用検証を2023年4月から開始する。日本IBMは2018年に製薬企業や医療機関など約20の企業や団体と設立したヘルスケア・ブロックチェーン・コラボレーション(HBC)において、医療・製薬業界の情報交換の仕組みとしてブロックチェーン技術を活用することを検討してきた。今回の検証には、製薬、医薬品卸、物流といった医薬品物流を担う企業が参加する。

医薬品データプラットフォームの概要
医薬品データプラットフォームの概要
(出所:日本IBM)
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 医薬品データプラットフォームにはブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」を活用する。医薬品の流通に関しては、品質保持や偽造品の流通防止の観点からトレーサビリティーの強化が求められている。ブロックチェーン技術を用いることで、データへの安全なアクセスや、一貫した管理が可能になる。

 検証に参加・協力する各社は、工場出荷から医療機関および薬局における処方、調剤、投与までの一連の流れを医薬品データプラットフォーム上で検証する。各参加者は参加医療機関における医薬品在庫情報をアクセス権限に基づいて参照できるようにし、在庫の偏りの解消を目指す。品質管理情報として、温度管理のあり方など医薬品の適正流通や事業継続計画(BCP)対応方針について検討する。