ドイツFraunhofer-Gesellschaft(フラウンホーファー研究機構)のレーザー技術研究所(ILT)は、リチウムイオン2次電池(LIB)の製造工程で消費するエネルギーを削減する技術を開発した。LIBの電極を製造する際の乾燥工程に、ダイオードレーザーを用いる。従来の乾燥炉を使った工程と比べて、エネルギー消費を半減できる。
一般的なLIBの製造には、黒鉛(グラファイト)を主成分とする負極材を液体状の混合物(スラリー)にしてから銅箔に塗布し、乾燥させてシート状の電極にする工程がある。「現在の乾燥工程は160~180℃の連続炉で行われており、1分間に100メートルもの銅箔を乾燥させる大規模な設備が必要で、エネルギー消費量も多い」(フラウンホーファー)。
これに対しILTの研究者らは、ダイオードレーザーで電極を乾燥させるシステムを開発した。波長1μmのレーザーを、特殊な光学系を使って広い面積の電極に照射する。黒鉛の粒子がレーザーのエネルギーを吸収して発熱し、液体が蒸発する。従来の乾燥炉による方式と比べて、必要なエネルギーは最大50%で済み、設備の設置に必要な面積も少なくとも60%削減できると見込む。