田中貴金属工業(東京・千代田)は、半導体検査装置のプローブピン向けに新合金「TK-FS」を開発した(図1)。高い硬度・屈曲性と低い電気抵抗率を兼ね備えており、さまざまなタイプのプローブピンに適用できる。2022年7月からサンプル出荷しているが、研究開発の継続によってさらに性能を高めた。
* TANAKAホールディングスのニュースリリースTK-FSのビッカース硬さは500HV以上で、用途に合わせて400~520HVに調整して提供する。電気抵抗率は7.0μΩ・cm以下。伸び率は8~13%と同社の既存製品から向上させており、10回以上の繰り返し折り曲げへの耐性を持つ(図2)。半導体パッケージのファイナルテスト用のテストソケットにおいてポゴピンタイプで使われるプローブピンの他、ウエハーテスト用プローブカードのカンチレバータイプやバーチカルタイプといった複数のタイプのプローブピンに1つの材料で対応できるという。これにより検査装置の長寿命化と低コスト化が期待できる。
同社は従来、ポゴピンタイプ向けにパラジウム系の素材を製造・販売してきたが、将来は、プローブピン用製品の多くをTK-FSへ切り替えるとしている。2028年までに、TK-FSの出荷量を既存製品の2倍とするのが目標だ。