中国CATL(寧徳時代新能源科技)は2023年4月16日23時15分(現地時間)、同社のナトリウムイオン2次電池(NIB)が、中国の自動車メーカーChery Automobile(奇瑞汽車)の電気自動車(EV)に採用されたとツイッターで公表した(図)。NIBが量産車に搭載されるという発表は世界で初めて。今後、多数のEVや定置用蓄電池などにNIBが使われる見込みで、これまでリチウムイオン2次電池(LIB)が担ってきた大容量蓄電池の市場の一角をNIBが占めることになりそうだ。
現時点では、奇瑞汽車のEVの車種や発売時期、NIBの搭載容量などは未公表。CATLは2021年のNIBの開発発表時に、EVへはLIBとNIBのセルを組み合わせたハイブリッド型の電池パックを使うとしていたが、今回の電池パックがそれに当てはまるのかも明らかにしていない。
奇瑞汽車は1997年に、安徽省と同省蕪湖市政府が出資して設立された、ある意味、“公立”の自動車メーカー。現時点では、上海汽車などいわゆる「ビッグ5」の一角を占めるまでに成長した。
今後、中国メーカー数十社が続々量産へ
中国では、電池メーカー数社が既にNIBの量産を開始済み。また、それに続く数十社も2023~2024年には量産を始める見通しだ。2030年には最大で369.5GWh分のNIBが量産されるという市場予測も出てきている。これは、LIBの同年の生産量の予測である3T~5TWh/年の約1割前後で、鉛蓄電池の多くが代替される可能性があるほか、低速または街乗り用EV、そして定置用蓄電池で、高い市場シェアをNIBが占める可能性が高い。
一方で、LIBの主要原料である炭酸リチウム(Li2CO3)の中国でのスポット価格は、ピーク時に比べて大幅に下落中で、NIBのLIBに対する競争力低下を心配する意見も出てきており、今後のNIBの市場拡大のスピードが鈍る可能性も否定できない。