NTTドコモは2023年4月10日、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と5G(第5世代移動通信システム)を含む同社の標準必須特許(以下、必須特許)のライセンス契約を締結したと発表した。ドコモは既に80社を超える企業と必須特許のライセンス契約を結んでいるが、5G関連を含めたライセンシーとして社名を公開したのは中国Xiaomi(小米科技、シャオミ)、2022年12月の中国Lenovo(レノボ)に続いて3社目となる。
標準規格に準拠した製品を製造する上で必須特許は欠かせない存在である。特許権者からライセンスを受けなければ特許権の侵害を回避することができないからだ。このため世界市場でシェア争いをする半導体メーカーや端末・装置メーカーにとって必須特許は、リスク軽減のための重要な戦略資源となる。実際、5G必須特許の保有シェアはサムスンが1位、米Qualcomm(クアルコム)が2位と上位を占める。そんな中、ドコモは上位10社で唯一の通信事業者として4位につける(図1)。5Gの市場は日本をはじめ世界で成長途上にあり、ドコモは今後もライセンシーを拡大していくという。
必須特許シェア獲得の競争は早くも、5Gの次として2030年ごろの商用化を目指すBeyond 5G/6Gに焦点が移っている。5G市場で出遅れた日本は、国家戦略として必須特許シェアの数値目標を設定している。国際的な競争力・交渉力の確保に活用できる水準として、現在の5G必須特許シェアと同等の「10%以上」を掲げる。ドコモは「5Gの出願を継続するとともに、6Gについても精力的に出願していく」とする。その言葉どおり、同社の特許出願数は2020年度の896件から2021年度は1079件へ増加し、そのうち6Gを含めた5G関連の占める割合は69%から78%に高まった。