日野自動車は2023年4月26日、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)のトラック・バス子会社である同TRATON(トレイトン)との戦略的提携を解消したと発表した。エンジンの認証不正問題など経営課題への対応を優先する。

 日野自が同日開いた2022年度通期の決算説明会で、同社社長の小木曽 聡氏は「両社の経営課題を注視すると、トレイトンと1対1の関係を強めるより、契約を解消し必要に応じて各社と協業していく方がよいのではないかとの議論があった」と明かした。2022年の年央ごろから議論を始め、今回の解消に至ったという。

日野自社長の小木曽 聡氏
日野自社長の小木曽 聡氏
(出所:日野自のオンライン説明会の様子を日経Automotiveがキャプチャー)
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 日野自とトレイトンは、2018年4月に戦略的協力関係の構築に向けて合意した。協業の範囲はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やグローバルでの部品調達など。2019年10月には、調達力の強化を目的とする合弁会社「HINO & TRATON Global Procurement」を設立していた。

 小木曽氏は「CASEの技術は今後非常に重要になるが、対応は全て自前だけではできない」と強調する。今後は「よりオープンにさまざまなパートナーと協業していくことになるだろう」(同氏)と話した。

 日野自はトレイトンとの協業の成果として、調達基盤の強化や欧州におけるカーボンニュートラル(炭素中立)動向の知識獲得などを挙げている。なお、今回の協業解消が業績に与える影響は「軽微」(同社)としている。