NTTは、ブロックチェーンを使って無線アクセスを個人間で共用する技術の実証実験に成功したと2023年4月26日に発表した。この技術により、様々な個人や企業が持つ無線アクセスを誰でも都度契約で利用できるようになる。ブロックチェーンの採用で、無線アクセス共用に関するインセンティブやセキュリティー、コストといった課題を解決できるとする。
この仕組みでは、契約収入が無線アクセス提供者へのインセンティブになる。また、ブロックチェーンが持つセキュリティー機能によりセキュアな共用が実現できるという。ブロックチェーンを利用することで集中制御局が不要になるため、システム構築コストの低減も見込める。ブロックチェーンの情報を利用して各無線基地局が自律分散的に端末接続数を調節することで、無線リソースの利用効率向上も期待できる。
実証実験では3台の無線基地局および10台の無線端末を使用。各無線基地局と無線端末で全て管理者が異なる場合でも、都度契約により通信を利用できることを確認した。また、特定の無線基地局への利用集中を回避し、無線リソースの利用効率を向上させられることも確認した。
同社は、無線アクセスの共用化により無線設備への投資、消費電力、電波干渉を低減でき、社会全体のメリットにつながるとする。災害時の通信手段確保への応用も期待できる。2024年度の技術確立に向けて検討を進めるという。