さいたま市と熊本市は2023年5月16日、マイナンバーカードを使ったコンビニ証明書交付サービスで、廃印処理済みの印鑑登録証明書が誤発行されるトラブルがあったと発表した。システムの開発ベンダーはいずれも富士通Japanだ。同社製システムによる誤発行が分かったのは計7自治体となった。
さいたま市は2021年10月~2022年10月にかけて2人の住民に対し、計3件の誤発行があったという。2023年5月13日に富士通Japanから「他の自治体で発生した誤発行が、さいたま市でも起きていた可能性がある」と連絡を受け、調査を依頼したところ「過去に誤発行があったことが判明した」(さいたま市の担当者)。
熊本市は2020年12月~2023年3月にかけて3人の住民に対し、計5件の誤発行があった。さいたま市と同様、2023年5月13日に富士通Japanから誤発行の可能性について連絡を受け、その後の調査で過去の誤発行が明らかになった。
トラブルの原因は2023年5月15日に明らかになった新潟市の事象と同じく、富士通Japan製システムの不具合によるものだった。さいたま市と熊本市は富士通Japan製コンビニ交付サービス「Fujitsu MICJETコンビニ交付」と、住民記録システム「Fujitsu MICJET 住民記録システム(政令市版)」を採用する。廃印処理された印鑑登録証明書のデータは本来、コンビニ交付のサーバー上で印刷ができないように住民記録システム側から制御する仕様になっているが、連携プログラムに不具合があったために印刷できてしまったという。
富士通Japanによると、新潟市を含めた3自治体と同じ構成をとる自治体は他にないという。自治体向けの同社製システムを巡るトラブルはこれまで、横浜市と東京都足立区、川崎市、徳島市、新潟市、さいたま市、熊本市の7自治体で判明している。
関連記事: 住民票誤交付でデジ庁が富士通Japanに総点検要請、困惑の自治体・熊本市で新規停止も 横浜市と足立区が富士通Japanを「指名停止」処分に、住民票誤交付トラブル巡り 今度は徳島市でも判明、止まらない富士通Japan巡るコンビニ誤交付トラブル 相次ぐ住民票誤交付トラブル、富士通Japanのシステムに何が起こっているのか 個情委が富士通Japanと3自治体に報告徴収、コンビニ交付サービス誤交付で 川崎市のコンビニ交付で他人の戸籍書類出力、市独自の富士通Japan製システムに原因 足立区でも住民票を誤発行、富士通Japanのコンビニ交付サービスで「別不具合」発覚 他人の住民票が誤発行される謎バグの真相、富士通Japanの「稚拙」設計に専門家も驚く