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 愛媛県今治市は2023年5月19日、マイナンバーカードを使ったコンビニ証明書交付サービスで、登録を抹消したはずの印鑑登録証明書が誤交付されるトラブルが2件発生したと発表した。同市の住民基本台帳システムの保守を手掛ける地元のITベンダー、IJCの設定ミスが原因といい、同月16日に修正対応した。同システムは富士通Japan製ではないという。自治体を巡るコンビニ証明書の誤発行トラブルは、ここ2カ月ほどで立て続けに判明しているが、富士通Japan以外のベンダーが手掛けるシステムでトラブルが明らかになったのは初めてとなる。

 市によると、一度市外に引っ越した住人が再び今治市に戻ってきた際に、抹消したはずの印鑑登録証明書がコンビニ交付で印刷できてしまう事象が、2023年2月と3月に発生していたことを確認したという。本来は、市外に引っ越すと印鑑登録証明書のデータは自動的に廃棄となるため、市内に戻ってきても印刷はできない。

 しかし、住民基本台帳システムに設定不備があり、印刷できてしまった。具体的には「コンビニ交付サービスから印鑑登録証明書が呼び出された際に、過去に登録された印鑑登録証明書は印刷できないよう住民基本台帳システム上で制御すべきだったが、その設定が漏れていた」(今治市)という。「2021年3月にコンビニ交付サービスを開始した時点で設定すべきだったが、できていなかった」(同)。多数の自治体で誤交付が発生している状況を踏まえて、IJCがシステムの総点検を実施した際に同事象に気づき、2023年5月16日に今治市に報告したという。

 IJCによると、同社が住民基本台帳システムを保守している自治体は今治市のみという。同社は「このたびはご迷惑とご心配をお掛けして申し訳ございません。不具合のあった箇所は既に改修を済ませており、同様のトラブルが発生することはございません」(広報)とした。

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