河野太郎デジタル相は2023年5月26日の閣議後会見で、マイナンバーカードを活用した各種事業でデータ誤登録などトラブルが相次いでいることを受け、デジタル庁を中心に関係する総務省、厚生労働省と連携してデータ総点検などの対策を強化すると公表した。一連のトラブルを巡っては、岸田文雄首相が5月25日に徹底対策をするよう河野大臣らに指示しており、それを受けた取り組み。
不具合やデータの誤登録は、マイナ保険証やコンビニでの証明書交付など4つの事業で明らかになっている。5月22日以降に明らかになった公金受取口座とマイナポイントを誤ってひも付けてしまうミスについて河野大臣は、自治体の支援窓口におけるマニュアル順守状況を調査したほか、登録データの総点検などの対策を取ると説明した。また公金受取口座を登録するマイナポータルは、デジタル庁が人為的ミスを防ぐシステム改修を図る。マイナポイントの自治体向け手続きサイトは2023年4月にシステムを改修済みで、現在は誤りを予防する操作手順になっているとした。
公金受取口座とマイナポイントの誤登録は、デジタル庁と総務省がそれぞれ2022年中ごろから一部自治体の相談や報告を受けていたが、誤登録があった旨の情報を開示していなかった。河野大臣は開示の遅れに関する記者からの質問に対し、「本来は最初に事案が起きたときに(他自治体でも問題を確認する)横展開をして、システム対応を取っていれば防げていた。デジタル庁としての感度が低かった点はおわびを申し上げる」と陳謝。情報の共有や問題意識の横展開を改善する意向を示した。
コンビニでの証明書の誤発行については、問題が生じた富士通Japanのシステムを使う自治体123団体のうち、12団体のシステムで検証が終わったと説明。残り111団体も同じ問題が生じないか、自治体の協力を得た上で速やかに点検する考えを示した。
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