ジェーシービー(JCB)系の決済ネットワーク運営会社日本カードネットワークの「CARDNET」で2023年11月11日に発生したシステム障害を巡り、発生に至る具体的な状況が明らかになってきた。

 CARDNETの障害は11日午後1時23分ごろから午後8時52分ごろまで発生し、クレジット決済をはじめとする取引の一部ができなくなっていた。特に午後5時45分ごろから1時間程度は「多くの取引が成立しづらい状況だった」(発表資料)としている。

CARDNETのシステム障害により、JR東海の東京駅にある新幹線の切符売り場でクレジット決済ができなくなり、窓口での現金決済のみに。窓口には行列ができていた
CARDNETのシステム障害により、JR東海の東京駅にある新幹線の切符売り場でクレジット決済ができなくなり、窓口での現金決済のみに。窓口には行列ができていた
(写真:日経クロステック)
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CARDNETのシステム障害は大手コンビニにも影響。東京都内のファミリーマート店舗では、クレジット決済ができない可能性がある旨を掲示していた
CARDNETのシステム障害は大手コンビニにも影響。東京都内のファミリーマート店舗では、クレジット決済ができない可能性がある旨を掲示していた
(写真:日経クロステック)
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 同社は13日夜、システム障害に関するプレスリリースを出した。これによると、「システム更改準備に加え、多大なシステム負荷を伴う要因が重なった」ことで処理遅延を招いていた。

日本カードネットワークは13日夜にプレスリリースを出し、11日のシステム障害の経緯について一部明らかにしている
日本カードネットワークは13日夜にプレスリリースを出し、11日のシステム障害の経緯について一部明らかにしている
(出所:日本カードネットワーク)
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 日経クロステックの取材によると、「システム更改準備」とはデータベース(DB)の同期処理。障害の起きた11日を含む週末は、CARDNETの東京センターに設置してあるシステムの一部を対象に、ハードウエアの更改作業を実施していた。13日朝に予定していた新システムの運用開始に向け、現行の本番系システムのデータベースを新システムへ同期する処理を、10日午前2時から実行していた。この同期処理は「当初の想定では(日中帯の)取引に影響しないと見ており、日中帯にも継続していた」(広報)。

 そうしたデータベースの同期処理を実行していた11日午後に、特定の接続先との間でデータ処理の件数が通常より増加し、システムの負荷が高まり処理遅延につながった。ここでのデータ処理はクレジット決済の可否を判定するオーソリゼーションなど一般的な内容だという。接続先の具体名は明らかにしていない。

 同社は処理遅延が発生した時点から負荷低減に向けた措置を試みたものの、夕方にかけて負荷がさらに高まり、多くの決済が正常に処理できなくなった。これを受けて新旧データベース間の同期処理や特定の接続先とのデータ処理を中断したところ「午後7時前には負荷が落ち着いた」(広報)。

 同社によると、データベースの同期処理と特定の接続先とのデータ処理は、理論上は競合するものではないと判断していた。ただ「一連の処理の過程で何かがあった可能性も含め、主原因を特定して改めて公表したい」(広報)としている。複数の処理が積み上がって高負荷になった可能性だけでなく、データベースの同期処理と特定の接続先とのデータ処理を巡り、何らかの競合が発生した可能性も排除せずに原因究明を進める考えだ。