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「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」をミッションに掲げ発足したデジタル庁。我が国の社会全体のデジタル化を加速する原動力としての役割が期待されている。同庁で大臣室長を務める浅岡孝充氏と企業や組織のファイルを管理するコンテンツクラウドを提供するBoxの古市克典社長が、今後の日本社会におけるデジタル化の行方について語り合った。(本対談は2021年11月22日に実施しました。)

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国は三位一体の改革、BoxはISMAP登録で改革を推進

2021年9月1日、新たにデジタル庁が発足しました。浅岡さんは、平井卓也前デジタル改革担当大臣の時代から大臣室長という立場でデジタル庁創設に深く関わっておられました。今回の新組織でも大臣室長として牧島かれんデジタル大臣をサポートする立場に就かれました。

浅岡:はい。特に牧島大臣が就任されてからは、デジタル改革に加えて、規制改革、行政改革を合わせて進めていくという方向性が明確に打ち出されています。デジタル庁が目指す社会全体のデジタル化を進めていく上では、単に現行の仕組みをデジタルに置き換えるだけではなく、これらの改革を三位一体の形で取り組んでいく必要があるわけです。さらには日本に閉じた取り組みにするのではなく、諸外国の動向も見据えながら、国際的にも通じるデジタル化を実現していかなければならないと思います。これらを念頭に、牧島大臣をしっかりとサポートしながら、改革を進めていきたいと考えています。

デジタル庁 大臣室長参事官 浅岡孝充氏
デジタル庁 大臣室長参事官 浅岡孝充氏
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古市:弊社(Box Japan)はかねてより国内企業や組織のデジタル化、DXをサポートしてきましたが、最近、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)にも登録いたしました。今後は、本格的に中央官庁や地方自治体をデジタルの側面から支えていきたいと考えており、デジタル庁の取り組みにも貢献していければと考えています。

Box Japan 社長 古市克典氏
Box Japan 社長 古市克典氏
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時代の変化に合った働き方を推進

デジタル庁ではその発足に当たって、民間の人材を積極的に登用されましたね。

浅岡:民間の人材については今も通年で募集を続けており、現在のところデジタル庁自体は600人くらいの規模ですが、そのうち約4割が民間出身者です。もっとも、これらの職員の多くは企業に引き続き属している状態、つまり兼業で週に2~3日デジタル庁の業務に携わるというかたちで、特に各人の得意分野を生かした業務に携わってもらっています。そうした中には、UI/UXの確認を専門的に行っている人がいたり、Webサイトなどの使い勝手をアクセシビリティの観点でチェックしている視覚障害の人がいたりします。いずれにせよ、こうした密接な官民融合のかたちで仕事に取り組んだ例はかつてなく、どのようにチームを作り、どういうふうに意思決定の仕組みを整えるかなど、双方が最大限に力を発揮するための体制づくりを、今まさに試行錯誤で進めているところです。

古市:そのような柔軟な兼業を認めるというのは、職員の方が所属している企業側にとっても大きなチャレンジですね。弊社も兼業自体は認めていますが、あくまでも本業に影響が出ない範囲でという制限付きです。ただ各人が持てる能力を最大限に発揮し、企業のビジネスや社会への貢献を果たせるようにするという観点では、今後は柔軟な働き方を受け容れていく必要があるでしょう。デジタル庁が兼業OKという制度を採用されている背景には、社会の変化を促していこうという意図もありそうですね。

浅岡:1つ人材関係でのデジタル庁の面白い取り組みを紹介しますと、地方自治体の職員の方に限定した公募も実施しました(2021年12月10日に締切)。これから地方自治体には、運用するシステムを標準化し、デジタル庁の構築するガバメントクラウドに載せていってもらおうとしています。それに向けて、実際に地方自治体の業務が分かっている人に来てもらって一緒にやることが大事だと考えています。一定期間を経て、職員の方々には、再び元の自治体に戻ってもらって、システムのガバメントクラウドへの移行をけん引してもらおうというわけです。