気象データを活用したさまざまなサービスで、企業や社会の課題解決に貢献する日本気象協会。そのテクノロジーは、気象のプロのみならず、デジタル人材によって支えられている。
「気象×データ」による価値創造で、社会課題に取り組む
1950年の創立以来、気象のプロフェッショナル集団として多彩なサービスを展開してきた日本気象協会。その強みは、70余年にわたり蓄積された膨大な気象データと、それを解析し、新たな価値を生み出すデータサイエンティストの存在にある。気象テクノロジーとビッグデータの融合により、商品や電力の需要予測やエネルギーマネジメント、交通運航支援など、多くの分野で課題解決に貢献している。
「およそ3分の1の産業が何らかの気象リスクを持っています」と言うのは、同社技術戦略室の増田有俊氏だ。「例えば、コンビニのアイスやおでん、アパレルの売れ行きなどは気象に大きく左右されます。日本気象協会では、気象データを用いた経済指標の分析や予測によるコンサルティングを行い、さまざまな企業活動を支援しています」

また、気象予報士のノウハウと人工知能(AI)を組み合わせた電力需要予測や電力取引価格予測なども、同社の得意とする分野の一つだ。原油価格や電力料金の高騰、再生可能エネルギーの推進などを背景に、「気象×データ」の知見は今後一層、求められるに違いない。
「日本気象協会が有する気象ビッグデータと企業や社会のデータを掛け合わせることで、全く新しい独自のサービスが生まれる。それが気象ビジネスの面白いところであり、データサイエンティストにとっても挑戦しがいのあるテーマといえるでしょう。気象の世界では過去からの膨大なデータが、使いやすい形で蓄積されています。AIによる分析と親和性が高く、アイデア次第で社会の役に立つサービスを創出できるのが醍醐味です」(増田氏)