企業には、一人ひとりの社員に確実に伝え、全員で共有したい情報があふれている。日々の業務には直接関係ないように思われても、実は間接的に企業の活力アップにつながる情報もある。だが、日々の業務に追われる社員に、情報を確実に伝えることは案外と難しい。

 こうした悩みを解決する手段として、デジタルサイネージに注目が集まっている。通常は街を行き交う人々に情報を発信する大型ディスプレイを社内に設置して、社員への情報伝達手段として使うのだ。

 本社ビルのほぼ全フロアにデジタルサイネージを設置した大塚商会で、導入と運用を担当した人事総務部 総務課 係長の吉見正之氏に、その狙いと効果的な運用方法を聞いた。

大塚商会 人事総務部 総務課 係長の吉見正之氏
大塚商会 人事総務部 総務課 係長の吉見正之氏
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忙しい社員に気づきを与えるツール

 ITソリューションの提供を通じてオフィスの情報化と効率化を支援する大塚商会。社員1人あたりの営業利益は過去10年で3倍に伸ばすなど、社内の生産性向上に余念がない。そんな同社でも、社員への情報連絡に課題を抱えていたという。

 これまで大塚商会では、社員に伝えるべき情報は物理的な掲示板のほか、イントラネットやメールを通じて発信していた。しかし、これらの手段では、社員の元に情報を届けることはできても、実際の認知に結びついていないことが多かった。掲示板に書類を掲出したり、メールを送っても、社員が中身をきちんと読まないことがままあった。

 例えば福利厚生関係の情報は、自動販売機や喫煙所があるリフレッシュコーナーの掲示板に掲出していた。しかし、古い掲示物がそのまま貼り残されることもあり、社員への情報伝達手段としては今ひとつだった。会議室の忘れ物をイントラネットで知らせても、社員に閲覧されず、持ち主が名乗り出てくれなかった。社員一人ひとりにメールを送ったとしても、毎日大量のメールをやり取りする社員にすれば、社内連絡は真っ先に読み飛ばす対象になってしまう。

 「社内の情報伝達手段を、キメ細かな管理ができて、確実に、かつ気持ちよく情報を伝えられるものへと抜本的に刷新する必要があったのです」と吉見氏は当時の状況を振り返る。そして、具体的な情報認知(気づき)の手段を検討した末、来訪者向けに東京・飯田橋にある本社ビルのエントランスに設置していたデジタルサイネージを、社員向け告知を目的として社内導入を決めた。

 大塚商会は、顧客向けにデジタルサイネージのソリューションを提供している。このため公共性の高い場所で不特定多数の人の目に留まりやすく、インパクトのある情報提供が可能というデジタルサイネージの特長を熟知していた。今回は、その特長を社内での確実な情報伝達に応用した。

 「デジタルサイネージには、これまでの情報伝達手段にはない社員に気付きを与えるツールとしての適性があります。また動画など、これまで社内連絡に使っていなかった表現方法を活用できるため、具体的・印象的に情報を社員にアピールできます。加えて社員の誰もが通る場所、立ち止まる場所にディスプレイを置けば、社員の高い確度で目に留まります」(吉見氏)という。