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データ活用の範囲拡大、用途の高度化が進む中で、個人情報や機密情報などデータを社外に出せないため活用を断念せざるを得ないケースが増えている。しかし、この課題の糸口となる技術が登場している。データを暗号化したまま目的の分析処理を行う「秘密計算技術」である。その可能性とユースケースを専門家に聞いた。

 データ駆動型社会が到来しようとしている。データを収集、可視化、分析して、既存のサービスに新しい価値を付加する。あるいは全く新しいサービスを生み出す。企業、業界、国、あらゆるレベルでデータ活用が加速している。

 しかし、課題もある。その1つがセキュリティーだ。

 より偏りがなく、多くのデータを活用することで、インサイトの質も高まる。そうした活用領域は少なくない。例えば、金融における不正取引の検知、製薬や素材開発における毒性把握、サプライチェーン全体のリスク管理などだ。これらは、一社が持つデータだけでなく、業界全体でデータを持ち寄って分析すれば、より精度の高い分析結果を得られる可能性が高い。

 だが、ここでセキュリティーの壁が立ちはだかる。金融機関の取引データは個人情報を含むし、素材開発に関するデータは製造業の生命線ともいえる機密情報である。どんなに大きな成果が期待できたとしても、データを社外に持ち出すのは極めてハードルが高いからだ。

 このようなケースでもデータ活用ができるように、データの秘匿性を守りつつ、計算処理などを行う「秘密計算」という技術が開発されている。データはセキュアな計算環境によって暗号化された状態で計算が行われる。公開されるのは分析結果だけ。この仕組みを個人情報※1や機密情報を含むデータの横断的な分析に活用したいと考える企業や業界が増えているのである。

 「金融における不正取引の検知、製薬や素材開発における毒性把握、サプライチェーン全体のリスク管理などは、業界共通の課題であり、競争領域ではありません。そこで秘密計算を使って、業界全体で課題を解決しようという機運が高まっています」NECの糸永航氏は話す。

 NECは数年前から秘密計算技術の研究・開発を進めてきた。その成果をクラウドサービスとして実用化し、2022年1月より「秘密計算ソリューション」として提供している。

※1 個人情報保護法に基づき、データの収集・利用(第三者提供を含む)に際してデータ提供者本人の事前同意が必ず必要となります。
NEC 技術価値創出本部 先進技術ビジネスデザイン室 シニアマネージャー 糸永 航氏
NEC 技術価値創出本部 先進技術ビジネスデザイン室 シニアマネージャー 糸永 航氏
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