社員一人ひとりのSDGsに対する理解を深め、具体的な活動につなげるため「SDGs推進委員会」を設置。PCの製造販売を通じて目標達成に向けて活動を進めている。
「人とPCは、もっと近づける」を企業理念に掲げるマウスコンピューターは、人々が幸せに豊かに暮らす社会の実現を目指している。2015年に国連で採択された持続可能な開発目標SDGsの、豊かで活力ある未来をつくるための17の目標のうち、9つの目標に会社を挙げて取り組んでいる。
2020年には執行役員を中心に構成するSDGs推進委員会を設置した。マウスコンピューターの中核事業であるPCの開発から販売、アフターサービスまでの事業活動がバリューチェーン全体でSDGsに対して、どのような影響を与えどのように貢献できるかを分析し、注力する9つの目標を設定したのだ。
SDGsの17の目標のうち、9つに絞り込んで取り組む
マウスコンピューターが取り組んでいるSDGsの9つの目標は、以下の通りだ。
目標1「貧困をなくそう」:雇用の創出と災害発生時の備え
目標3「すべての人に健康と福祉を」:働く人すべての健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4「質の高い教育をみんなに」:教育支援
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」:ジェンダー平等を達成し、女性活躍のサポートと推進
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」:持続可能なエネルギーの確保とエネルギー消費の削減
目標8「働きがいも経済成長も」:生産性の向上と働きやすい職場環境の整備
目標11「住み続けられるまちづくりを」:安心・安全な暮らしと地域振興
目標12「つくる責任 つかう責任」:持続可能な生産消費形態を確保する
目標16「平和と公正をすべての人に」:公平かつ平和な社会の実現
これら9つの目標からさらに重点的に取り組むべき内容として、目標4、7、11、12の4つに絞って事業活動を進めてきた。
取締役の軣秀樹氏は「PCメーカーとしてパソコンを使ってSDGsに貢献できる内容を中心に取り組んでいる」と話す。
目標7「エネルギーをみんなにそしてグリーンに」に関しては、PCメーカーとして従来から製品の省エネルギー化、省資源化に取り組んできた。例えば、オフィス機器の国際的な省エネルギー制度である「国際エネルギースタープログラム」に参加し、PCの省エネルギー化に努めている。国際エネルギースタープログラムは、製品の消費電力などについて米国EPA(環境保護庁)が基準を設定し、この基準を満たす製品に「国際エネルギースターロゴ」の使用が認められる。日米両政府の合意の下1995年10月から実施されていて、現在では日米両国以外にスイス、カナダ、台湾も参加している。参加を希望する製造事業者や販売事業者は、事業者登録を行い、対象製品が基準を満たした製品であることを自社または第三者機関が確認して届出を行うことで国際エネルギースターロゴを製品などに表示できる。
2020年10月に発効した同プログラムのコンピューター基準バージョン8.0には、マウスコンピューターが販売するノートPCの95%、デスクトップPCの24%、全体では64%が適合している。
また、国などの公的機関が率先して再生品などの調達を推進し、環境負荷の低減や持続的発展が可能な社会の構築を推進することを目的とするグリーン購入法では、2021年度は同社の全PCの92%(ノート94%、デスクトップ89%)が適合していた。
省エネ法基準の達成率については、100%達成しているのは全体の54%(ノート82%、デスクトップ19%)、85%以上達成しているのは全体の64%(ノート93%、デスクトップ27%)だ。
こうした環境基準は年々厳しくなっており、100%以上を達成するまでには至っていない。というのも、同社が得意とする高性能なクリエイティブPCやゲーミングPCのようなハイエンド・モデルは電力消費量が増えてしまいがちで、「環境基準は年々厳しくなっていきます。当社は、改正後もこの3つの環境基準を85%以上達成できるように積極的に取り組みます」と話す。
PCの性能を高めつつ環境に配慮した製品を開発するというように、法規制の範囲内で、省エネ化に努めていくという。
2022年からは「グリーンアセスメント評価」を開始し、部品などを調達している全ての取引先における環境の取り組みを「環境規格認証状況」、「環境マネージメントシステムに関する評価」、「製造工程に関する評価」の3つの分類で18の項目を評価するようにした。環境に対する企業全体の取り組みから、各部門および製造工程と外注に至るまでの取り組み状況を評価する方針だ。