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日本語文書の内容や意図を理解するAI

 これを実現するコア技術が、NTT研究所が開発した「NTT版BERT」である。

 BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、2018年にGoogleが発表した言語モデル。自然言語処理において学習済みのモデルを様々なタスクに使えるようにしたものだ。「BERTをベースに、日本語のウィキペディア、ニュースサイト、ブログなどから集めた日本最大規模の言語資料を学習させたモデルがNTT版BERTです。これを用いることで、自由記述文書から意図を抽出するといった知的作業の自動化が可能になりました」とNTTデータ先端技術の田中秀明氏は語る。

NTTデータ先端技術株式会社 ソフトウェアソリューション事業本部 AIソリューション事業部 AIサービス開発担当 担当課長 田中 秀明氏
NTTデータ先端技術株式会社 ソフトウェアソリューション事業本部 AIソリューション事業部 AIサービス開発担当 担当課長 田中 秀明氏

 同社は、NTT版BERTの成果を容易に活用できるAIプラットフォームとして「PhroneCore(プロネコア)」を提供している。特長は大きく次の5つだ。

  • ①少量の学習データで高い精度を実現
  • ②APIと、開発支援ツール、データ作成ツールなどを提供
  • ③クラウド、オンプレミスのどちらにも対応
  • ④ユーザー固有の用語や言い回しを追加学習で認識可能
  • ⑤判定の根拠となった該当箇所を示す「説明可能なAI」

 「PhroneCoreによって、最新の自然言語処理AIを、既存システムに柔軟に取り込めます。オンプレミスで使えるため機密性の高いデータでも安心です。また、一般的なディープラーニングとは異なり、説明可能なAIであるため、プロジェクトへの適用などの際、判定の根拠を明示することが可能です」(田中氏)

 追加学習で特定領域に特化させることが容易なため、適用領域も広い。多様なバックオフィス業務を効率化する武器として、今多くの企業の注目を集めている。

介護認定審査にかかる人的コストを最大70%削減

 ユースケースも登場している。1つは、自治体が行う介護認定業務での活用例だ(図1)。東北地方のある自治体と実証実験を進めており、そこではNTTデータ東北社の介護支援システム「Aitice」の中にPhroneCoreを組み込んでサービスを提供する予定だという。同社の志村進氏は次のように説明する。

図1 介護認定審査におけるユースケース 自由記述の書類の内容とチェックシートをAIが事前に照合することで、自治体職員の負担(人的コスト)を最大70%削減する
図1 介護認定審査におけるユースケース 自由記述の書類の内容とチェックシートをAIが事前に照合することで、自治体職員の負担(人的コスト)を最大70%削減する
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 「介護認定審査では、ケアマネージャーが記載した自由記述の調査票を、自治体職員がチェックシートと照らし合わせることで内容に不備や齟齬がないかを確認します。その作業には複数の職員が携わっており、かつ複雑な判断が必要なため、自治体業務にとって大きな負担になっていました。そこで、PhroneCoreで調査票の文章の内容を抽出し、チェックシートとの照合を自動化することを狙っています。AIが判定したあとの最終チェックのみを職員が行う形にすることで、最大70%の人的コスト削減を見込んでいます」

NTTデータ先端技術株式会社 ソフトウェアソリューション事業本部 AIソリューション事業部 AIサービス開発担当 担当課長 志村 進氏
NTTデータ先端技術株式会社 ソフトウェアソリューション事業本部 AIソリューション事業部 AIサービス開発担当 担当課長 志村 進氏

 もう1つが、契約書の法務チェックでのユースケースである。

 顧客などと取り交わす契約書において、文章に内在するリスクを指摘できる。例えば、「期日から3日以上遅延した場合には損害賠償を支払う」という記述があった場合、過去に学習し蓄積したナレッジに基づき、「『3日以上』という期間がほかの例よりも短い」といったアラートを上げることが可能だ。同時に、根拠となる記述部分をハイライトで示して分かりやすく表示する。「法務チェックの部分的な自動化によって、法務担当者の業務効率化やコスト削減、契約締結までの期間短縮、属人化の防止などを支援します」と中林氏は述べる。

膨大な業務文書、非構造化データの有効活用につなげることも

 ほかにも、営業日報の文章を解析して担当者の成績との相関を導く、あるいは社員が作成した提案書や技術資料から、どの社員がどのような知識やスキルを持っているかを可視化するといったことにも応用できるという(図2)。「社内に存在する膨大な非構造化データから、新たなビジネス価値を抽出できるようになります。金融、医療などの業界を中心に、そうした活用の相談も受けており、一部はPoC(概念実証)に向けて動き出しているところです」と田中氏は語る。

図2 営業日報の解析に基づき、担当者の成績との相関を導く 営業日報などの文書をPhroneCoreで解析することで、高パフォーマーと低パフォーマーの差を生むポイントなどを可視化・推測できるようになる
図2 営業日報の解析に基づき、担当者の成績との相関を導く 営業日報などの文書をPhroneCoreで解析することで、高パフォーマーと低パフォーマーの差を生むポイントなどを可視化・推測できるようになる
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 またNTTデータ先端技術は、PhroneCoreの提供に加え、AI活用の上流コンサルティングや、AI活用で直面しやすい「AIデスバレー(特定のポイントでプロジェクトが進まなくなる現象)」の克服、開発や運用フェーズの支援などもワンストップでサポートしている。パートナーとの連携も含めて、顧客ニーズを具現化する体制があるという。

 「技術の用途は広く、まだ我々も思い付かないような活用方法がたくさんあると考えています。顧客と検証を進めながら、知的業務や非定形業務の一層の自動化に貢献していければと思います」(志村氏)

 日本企業にとって業務の自動化・効率化は避けて通れない取り組みの1つだ。PhroneCoreは、日本のビジネス現場を救う大きな可能性を秘めたソリューションといえるだろう。

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