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デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指して、IT部門とは別にDXに特化した専任組織を立ち上げる企業が増えている。だが、人材難などによって、チームがなかなか機能していないという声も少なくない。そうした中、三菱重工業のデジタルエクスペリエンス推進室は、様々な工夫で取り組みを積極的に推進している。

 造船、交通輸送システム、民間航空機、発電システムなどの社会インフラ、宇宙システムなど、陸、海、空、そして宇宙にまで及ぶ広範な領域で事業を展開する三菱重工業(以下、三菱重工)。現在、同社はCSO(Chief Strategy Officer)配下にデジタルエクスペリエンス推進室という組織を立ち上げ、デジタル活用を推進している。

 「デジタル活用、DXに向けた取り組みが遅れていることに対する危機感が立ち上げのきっかけです。三菱重工の数十の事業と連携しながら、デジタル化に向けた企画、システムの開発、運用を行います」とデジタルエクスペリエンス推進室で室長を務める川口賢太郎氏は言う。

 この推進室は、昨今様々な企業が新設しているDXチームと呼ばれるようなデジタル専任組織の役割を担っている。ただ、現在の同推進室のメンバーは約30人と、三菱重工の従業員数が約8万人にのぼることを考えれば、決して大所帯とはいえない。限られたリソースを成果に結びつけるために様々な工夫を行っている。

 まず挙げられるのが、やみくもに手を広げるのではなく、役割と領域を明確に定めていることだ。「DXのためのチームというと、ほかにはない飛び抜けた才能を持つ『キラキラ』としたチームを想像するかもしれませんが、私たちは、困ったことがあったら、いつでも相談できる、身近な存在でありたいと考えています。そうして、お客様、従業員、経営者、取引先が困っていることをデジタルで解決していく。その前提に立って、まずは優先度の高いテーマに絞って取り組みを開始しています」と川口氏は話す。

 具体的に、同推進室の取り組みは、大きく「EX(Employee Experience)」「CX(Customer Experience)」「PX(Product Transformation)」の3つに分かれる。EXは、同社の従業員にとって働きやすい環境を実現するための業務のデジタル化を指す。CXは、顧客の不満を解消したり、満足度を向上したりするための顧客接点のデジタル化。そして、PXはIoTを活用してものづくりからサービスへと事業の軸足をシフトするようなデジタル起点での製品開発、いわゆるイノベーションだ。その上で、より短期的に成果が期待できるEXとCXの領域から取り組みを開始しているのである。

 また、専門集団ではなく、混成集団であろうとしている点も特徴だ。

 ビジネスプロセスや製品、サービスなどをデジタルで変革していくDXは、デジタル技術の知識やスキルだけでは対応できない。デジタルとビジネス、どちらも理解していることが重要となる。欧米の企業でDXが先行している理由として、ユーザー企業自身が多くのITエンジニアを抱えていることがあるともいわれている。

 同推進室が混成を志向する狙いも、まさにここにある。「事業部門の中でIT担当を担っていたメンバーに移籍してもらったり、これまでITとは全く縁がなかったメンバーにプログラミングを学んでもらったりしています。それ以外にも、生え抜きとキャリア採用の人材、事業開発で活躍してきた人材と技術畑が主戦場だった人材、推進力が魅力の人材と慎重に物事を進める人材など、あらゆる個性を持った人材でチームを構成したいと考えています」と川口氏は強調する。

三菱重工業株式会社 成長推進室 デジタルエクスペリエンス推進室 室長 川口 賢太郎氏
三菱重工業株式会社 成長推進室 デジタルエクスペリエンス推進室 室長 川口 賢太郎氏