NTTデータは、5年後の新たなデジタル社会像を「Smarter Society Vision 2021」として策定。生活者と企業・行政の信頼をベースに、今までにない新たな価値創出を目指す。
生活者との信頼関係が企業の持続的成長の源泉となる
デジタル技術の進化は、我々の社会に大きな変化をもたらした。企業のビジネスは「モノ売り」から「コト売り」へシフトし、サブスクリプションなどの新たなビジネスモデルも広く受け入れられるようになった。また近年は、IoTを用いたサプライチェーン改革なども急速に進んでいる。
「このような変革が進んだ結果、企業や行政は、生活者一人ひとりの求めにマッチした、パーソナル化されたサービスの提供を目指すようになりました」とNTTデータの村山智文氏は述べる。

従来は生活者が行う必要があった様々なことをサービス化し、新たな価値を提供する。例えば、米国の大手スーパーストアでは、顧客一人ひとりの購買データに基づいて献立を提案するサービスを提供。商品の選択や決済をオンラインで行い、自宅に届けてくれるサービスも展開している。
「このように、企業と生活者の間のバウンダリー(境界線)を変更し、より生活者の求めに近いサービスを提供することで、市場で選ばれる存在になれます。期待に応え続けていけば、強い信頼関係も築けます。この信頼関係こそが、企業の存続と持続的成長の源泉になるのです」と村山氏は話す。
もちろん、これらの取り組みを進めるには、生活者の期待を正しく理解し、生活者視点のサービスを具現化する必要がある。サービス提供者には、従来の業容や組織の壁を取り払い、業界横断型で行動していくことが求められている。
「1つの企業が複数の業態を実現するほか、複数の企業・組織の協業に基づく取り組みも登場しています。日本政府が推進する『引越しワンストップサービス』はその一例です。自治体と電力、ガス、水道、金融機関など、複数の企業・組織が連携し、生活者視点の新たなサービスを目指しています。これからの時代は、既存の手法にとらわれず、今までにない価値を提供する方法を模索することが重要になっています」と村山氏は強調する。