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 高温多湿で過ごしにくい日本の夏。エアコンの利いた部屋で涼んでいたら、電気代の請求金額を見て背筋まで凍りつく。そうした経験を持つ方は少なくないだろう。

 不況が家計を直撃するこの頃、節約意識の高まりは、家電量販店の冷房機器売り場でもうかがえる。

 ヨドバシカメラマルチメディアAkibaでは、エアコン売り場の一角に、一風変わった“扇風機”の特設コーナーが登場した。この扇風機は「サーキュレーター」と呼ばれる。強めの風で室内の空気を撹拌し、エアコンの効率を高める機能に特化した機器だ。

3年で生産台数20倍

 売り場には、黒や白を基調にしたシンプルなデザインの商品が並ぶ。3000~4000円程度が売れ筋で価格は手頃。羽根の直径が20cm前後の小型が主流だという。ヨドバシカメラの栗本真吾氏は「販売台数で扇風機全体の4割程度を占める商品に成長した」と話す。

最大シェアを誇るハネウエル
最大シェアを誇るハネウエル。シンプルなデザインも人気の要因

 サーキュレーターを製造する山善がリモコンや首振り機能を搭載した新製品(実売価格5000円程度)をテレビ通販で紹介したところ、30分で4000台が完売した。今年に入って既に20万台以上の受注を受けており、生産台数は3年で20倍と急成長している。

 もともと、サーキュレーターは米国で生まれた。現在、日本で最大のシェアを誇るのは米「ハネウエル」ブランドだ。同ブランドを輸入販売するシー・シー・ピー(東京都)の海老沢恵氏は「店舗やオフィスでの利用が多かったが、最近は個人利用のために購入するケースが増えてきた」と説明する。地道に国内の市場を開拓してきた同社は、今年42万台を出荷する予定だ。

 では、一般的な扇風機と一線を画すサーキュレーターの機能とは何か。

 エアコンと扇風機の併用が冷房効率を高めることは、これまでも言われてきた。エアコンだけで冷房すると、風量に限界があるため室内の空気を十分に撹拌できず、冷気が足元にたまってしまう。

室内の空気を「かき混ぜる」

 東京電力の実験では、エアコンと一般的な扇風機の併用で、2割以上の節電効果が実証されている。扇風機が室内の空気を程よく循環させるため、エアコンの設定温度を低くしなくても快適さが保たれるからだ。

空気循環のイメージ

 サーキュレーターは、この空気を循環させる機能を徹底的に追求している。特殊な形状の羽根を使い、直進性のある強力な風を発生させる。近くに置いて直接風に当たる一般的な扇風機とは設計思想が異なる。強力な風で足元にたまった冷気を部屋全体に循環させ、室内の温度ムラを解消する。また、その特性から暖房時にも同様の効果がある。浴室の換気、洗濯物の乾燥といった使い道もあるという。

 課題を挙げるなら「音」だ。強力な風を発生させるため、どうしても風を切る音が大きくなる。各社が改良してはいるが、気になる人は少なくないだろう。これでは就寝時にエアコンや扇風機を利用する消費者を取り込めない。

 今年、サーキュレーターの国内販売台数は推定で70万~80万台と見られている。さらなる普及には静音化が不可欠だろう。