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 チリン、チリーン――。店内を涼しげな風鈴の音が聞こえる方へ進むと、そこには懐かしい形の瓶がずらりと並ぶ。

 ここは東急ハンズ渋谷店(東京都渋谷区)。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から集められたのは、地ビールならぬ地サイダー、地ラムネ。約60種類を扱っており、毎日平均で100本程度売れているという。購買層の中心は高校生から30代くらいで、その場で飲みたいというニーズに応えるため、一部商品は冷蔵庫で冷やしている。

地域振興に一役買う

東急ハンズ渋谷店の特設コーナー
東急ハンズ渋谷店の特設コーナーには、全国から約60種類のサイダーとラムネが集められている

 人気の秘密は、何と言ってもその懐かしいラベル。贈答用や会社のイベント用にまとめて購入する人が多いという。また昔懐かしいもの以外にも、ご当地名物をテーマに、変わったサイダー、ラムネが相次いで発売されている。

 思わず味を疑いたくなるのは、「夕張石炭ラムネ」(189円、価格はいずれも東急ハンズ渋谷店の店頭価格)や「函館イカス!ミラムネ」(210円)など。夕張石炭ラムネを製造する飲料会社、丸善市町によると、「ライムで石炭の苦みを、ペパーミントで清涼感を出している」という。

 瓶入りのサイダーやラムネは重く、持ち帰りに不便なため、楽天市場などネット通販でもまとめ買いする動きも目立つ。楽天市場で「いわゆるソフトドリンクのお店」を運営するナカヱ(和歌山県印南町)は、全国各地の8種類16本を3880円で販売。2006年から販売を開始し、これまでに4000ケース近くが売れた。

 ご当地サイダーを手がけるメーカーの1つが友桝飲料(佐賀県小城市)。昭和初期から作っていたサイダーは、年に1回作って地元の人に宅配する程度のビジネスに過ぎなかったという。採算が合わないため、生産中止するかどうか検討する中で、窮余の策として登場したのが地域振興の企画だった。

 地元特産品の1つとして、地サイダーを手がけるうちに、問い合わせが入るようになった。今では、九州から中四国地方にかけて、様々な地方企画のサイダーに参加。年間1万本だった生産本数は、「今では月に5万~10万本を生産している」(友田諭社長)。

 友桝飲料では昔からのスワンサイダー(236円)のほか、様々な地域とのコラボレーション商品を送り出している。鹿児島の「指宿温泉サイダー」(210円)や長崎・雲仙温泉の「雲仙レモネード」(271円)など温泉地にちなんだものから、香川県小豆島の「オリーブサイダー」(210円)も手がける。

味よりインパクトを重視

変り種サイダー、ラムネ
たこ焼風ラムネ、水なすラムネはハタ鉱泉が、スワンサイダーとオリーブサイダーは友桝飲料が手がける

 一方、「たこ焼風ラムネ」(126円)などの変わったラムネを相次いで発売しているのがハタ鉱泉(大阪市)。全国展開する大手ラムネメーカーだが、秦啓員社長の「ハタ鉱泉ここにあり、というところを見せとこや」という号令の下、「おいしくなくてもインパクトがあるものを」(同社営業部)と、たこ焼風ラムネが誕生した。宴会の罰ゲーム用に売れているという。

 これからいよいよ夏本番。家庭や職場、地域コミュニティーのイベントが増える季節。地サイダー、地ラムネは、老若男女の交流を円滑にする格好のアイテムとなりそうだ。