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 たまたま、課題研究のテーマがプログラミング言語「Java」で、缶サットの制御に使う言語と同じだった増田君は、二つを並行で進める一石二鳥を論拠にハードルをクリア。

 最初に手を挙げた小黒君は、宇宙関連の進路を希望し、中でも人工衛星に興味を持っていた。その強い関心と情熱が大人を揺り動かす。課題研究のほかに缶サットも研究することで、競技への出場に道が開かれた。運動部との掛け持ちで参加した中村君を含めた3人の小さな開発チームが産声を上げた。

 同じころ、秋山氏らの伝道活動により、全国の高校が続々と大会出場に名乗りを上げ始める。東京では、東工大付属に加え、早稲田大学高等学院と桐朋高校、神奈川からは野球で“本家”甲子園大会を沸かせた慶應義塾高校、群馬では県立桐生高校、和歌山の県立海南高校、県立桐蔭高校、佐賀県立武雄高校の8校が出場を表明。数人の小さなチームから十数人規模の大型チームまで夏休み返上の開発がスタートした。

打ち上げには本物のロケットを使用

缶サット甲子園の概要
高校生による缶サット競技は、打ち上げられた缶サットのカメラで地面のターゲットを写すことを競う

 缶サット競技で高校生が作るモノは、大きく二つある。一つは、上空に打ち上げるまで缶サットを収めておく「キャリア」と呼ばれる収納機構。もう一つは、落下に使うパラシュートを含めた缶サット本体だ。ロケットに搭載したキャリアを上空でうまく解放し、缶サットを放出、パラシュートで地上に落下させる仕組みを開発する。

 既に大学生対象の大会は、2005年に始まった能代宇宙イベントとともに歴史を重ねていた。そこでは、上空で放出された缶サットの飛行を制御し、決められた地上ポイントで回収する技術を競う。

 初の高校生大会は、技術レベルに合わせてルールを簡略化。内蔵したカメラで地上を撮影できるよう缶サットの姿勢を的確に保ち、地上に設けたターゲット(目印)を撮る時間の長さを競う。このほか、キャリア解放機構の動作や、上空でのパフォーマンスなどが採点に加わる。

 高校生大会のもう一つの目玉は、打ち上げに本物のロケットを使うこと。実は、大学生大会はロケットを使わず、バルーンで上空に缶サットを浮上させる。高校生は特別扱い。ロケット関連ベンチャーのカムイスペースワークスが提供するハイブリッド型ロケットが用意された。