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 9月1日は防災の日。このところ、豪雨や台風による被害が相次いで起きたこともあり、防災意識は一層高まっている。日頃から非常食などの防災グッズを用意する人も増えてきた。

 これまで非常食というと定番は乾パン。自治体や企業が非常時に備えて大量に備蓄しているほか、昨今の防災意識の高まりにより、市場は拡大傾向にあるという。そこに目をつけたのが菓子メーカーだ。「非常時にでも、日頃慣れ親しんだお菓子を食べたいと思う人は少なくないのではないか」とロッテ商品開発部第二企画室ビスケット担当の北田泰嗣係長は話す。

被災者の意見を基に開発

 ロッテは自社の主力ブランド「コアラのマーチ」を使った非常食を8月に発売した。「コアラのマーチビスケット〈保存缶〉」(実勢価格は398円前後)だ。通常のコアラのマーチは薄いビスケット生地の中にチョコレートが入っている。だが、チョコレート入りの商品は長期保存には向いていないためプレーンビスケットを採用。通常商品の賞味期限は1年だが、この商品は3年持つ。

コアラのマーチ
コアラのマーチビスケットは子供が喜ぶデザインを採用

 ロッテが特に配慮したのは被災した子供たちだ。「テレビなどで避難所の映像を見ると、泣いている子供たちが多い。そこで、ほんのひと時でも子供たちの笑顔を取り戻せる商品ができないかと考えた」と北田氏は話す。

 ビスケットに描かれたコアラのイラストもあえて明るい、ほっとできるような絵柄を採用した。ビスケットそのものも、歯が生え始めたばかりの1歳児でも食べられるように、硬すぎないものを使用した。

 パッケージも子供の視線を意識した。緑色の缶にヘルメットをかぶったコアラのイラストはほのぼのとしている。また保存缶の裏面にはNTTが提供する災害伝言ダイヤルの手引書を載せ、「親とはぐれて1人になってしまった時に役に立つよう」に工夫した。

 さらにロッテでは実際に被災者の声に直接耳を傾けて商品の細部にこだわった。「避難所では、水が不足して手が洗えないことも多い」。このためビスケットをバラで入れずに、小袋に分けた。この方が手を汚さずに食べることができる。また、ビスケットが甘すぎるとのどが乾く。そこで甘みの加減にも配慮した。

森永製菓の非常食用菓子
森永製菓の非常食用菓子は多くの自治体や企業から問い合わせが相次いでいる

 ロッテと同様に自社の主力ブランドを使った非常食を発売したのは森永製菓だ。同社は古くから菓子の非常食需要に注目していた。 関東大震災の時にはミルクキャラメルを配布して多くの人に喜ばれたという。また毎年、防災の日が近づいてくると、自社のゼリー飲料やチョコレートといった定番商品が非常食として購入され、売り上げが2割ほどアップする。そこで改めて非常食用の菓子を商品化した。8月から発売したのがビスケットの「マリー缶」(実勢価格は498円)と「ミルクキャラメル缶」(実勢価格は398円)の保存缶だ。2つの商品ともに賞味期限は5年となっている。 

防災パンフを店頭で配布

 「カロリーも栄養価も高いお菓子は非常食に向いていることを知ってほしい」と菓子事業本部菓子マーケティング部ビスケットカテゴリーの八木格プロダクトマネジャーは言う。森永製菓は自治体と共同で防災対策などが書かれたパンフレットを作り、店頭で配布している。

 少子化などの影響で菓子業界は決して追い風ではない。非常食という新たな市場は菓子業界にとって厳しい戦いを凌ぐ“救世主”と成り得るのか。新しい非常食に熱い視線が注がれている。