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 自宅で手軽にパンが焼ける調理家電、「ホームベーカリー」が売れている。

パナソニックのSD-BMS101
パナソニックのSD-BMS101(左)。うどんの生地も作れる(上はイメージ)

 日本電機工業会(JEMA)の統計によれば、個人消費の低迷が続く中、出荷台数は今年6月までの半年で前年同期比2割強増加した。

 先行きでも、ホームベーカリーで8割のシェアを持つパナソニックは強気の見通しを持つ。今年度から来年度にかけ3割前後の伸びを予想、出荷台数は2010年度に市場全体で60万台を見込む。

 大手家電量販店では、販促ツールとしてホームベーカリーを利用するレシピ本を並べるなど、商機をつかもうとする店舗が増えている。

 追い風になっているのは「巣ごもり消費」だ。先行き不安からか消費者の財布の紐は固く、休日もレジャーや外食を控えて自宅で過ごす人は多い。「今年は内食回帰の影響で調理家電全体が好調」(パナソニック広報部)だという。

自家製ジャムも楽しめる

 より手軽にパン作りが楽しめる機能の向上も人気を支える。パン作りと聞くと、生地をこねたり、醗酵させたりと面倒そうだが、実際は強力粉やイースト菌などを計量して投入するだけ。材料は一般的な食料品店で手に入るものばかりだ。練り、醗酵、焼きといった工程はすべて自動でやってくれる。

 レーズンやナッツといった具材も簡単に加えられるので、いろんな味を試すことができる。米粉を加えれば、味だけでなく食感も変えられる。

 パナソニックはこの機を狙い、子供に人気の蒸しパンも作れるコースなどを追加した新製品(写真上)を9月に発売する。

 価格はオープンだが、3万3000円程度で販売される予定だ。1万円から2万円が売れ筋商品の価格帯だが、勝算はあると見ている。購入者は大半が主婦で、子供がいる家庭も多い。子供と一緒に食事を作る機会も多いため、子供の好物でおやつにもなる蒸しパンの需要はあるはずだとの判断がある。

エムケー精工のHB-150
エムケー精工のHB-150。焼き加減などで細かな設定が可能

 一方、インターネットの通信販売を中心に販売を伸ばすのがエムケー精工(長野県千曲市)。同社製品(写真右、実売価格2万円前後)は、製パンの工程を27通りに設定できる。「食感や焼き具合を自分好みに調整できる」と、こだわりを持つヘビーユーザーの間で人気を呼んでいる。

 エムケー精工の広報担当者によれば、「付属のレシピ本にないパンの名前を挙げて、その調理法について尋ねられることが増えた。ひと工夫して手作り感にこだわるお客が多い」という。

 パンの枠を超えた多機能化も進む。象印マホービンや東芝ホームアプライアンスなども含めた各社は、より多くの調理に対応する製品を投入、うどんの生地に始まり、餅やジャムまで作ってしまうものもある。

食の安全志向も背景に

 手軽で多機能とはいえ、調理にはひと手間かかる。それを惜しまなくなったのは、食への不安が大きくなったからだ。中国製冷凍餃子に毒物が混入された事件はいまだ記憶に新しい。「自分の食は自分で守る」という意識の高まりも、内食回帰を後押ししているようだ。

 いずれ炊飯器のような台所の「必需品」に育てたいというのが各社の思い。焼きたてのパンの香りで目覚める。そんな朝食の風景が珍しくなくなる時がくるかもしれない。