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 先輩エンジニアの方々に「就職前に学生時代にしておくべきことは何ですか」と聞くと,多くの方が「まず自分の得意分野を見つけることが大切」とおっしゃいます。さて,学生の皆さんは,「自分の得意分野は何ですか」と聞かれて,すぐに答えられるでしょうか? 今回は,“自分の得意分野”について,最近知り合いから聞いたちょっといい話をしたいと思います。

 その方は,機械メーカーなどで営業やマーケティングに長年従事してきた,私の取材先の一人です。ある私立大学の理工学部の出身です。理工学部ですから,多くの卒業生が技術者や研究者として就職するのですが,その方は営業職として就職し,活躍してきました。

 なぜ,営業職だったのか――。「学生の頃から営業的なことが得意だったり,好きだったりしたのですか」と聞くと,その方は「営業が得意だとは全く想像もしていなかった」と言います。ところが,学生時代のあるとき,転機が訪れます。それは,学生の時に参加した,ある日のアルバイトでした。

 アルバイト募集の案内に従って集合場所に行くと,その日の仕事の内容が「乳酸菌飲料の長期宅配契約を取る営業」であることを知ります。ただ,当時その方は「営業のような仕事はむしろ不得意」と思っていたそうです。だから,営業に向かう足取りも重く,「やっぱり思うように売れない」と落ち込みながらその日のバイトをしていたとのこと。

 1日かけて,契約してくれたのは3件。「これはだめだ」と悲嘆に暮れて集合場所に戻ると,3件成約という結果は,その日の最高成績であると聞かされます。そして,周りの人がものすごく褒め称えてくれたそうです。それで,その方はすっかり自信を持ち,今までとは正反対に「自分は営業が得意」と思うようになったと言います。

 「学生の勘違いなんですけどね」とその方は謙遜しますが,卒業後は営業の道に進み,生き生きと仕事をして,多いに活躍されました。営業の仕事をする上で,理工系出身であることは大きな強みになったと言います。ちょうど,「セールス・エンジニア」という概念が広がり始めた時期だったこともあり,技術に明るいということで,他の営業マンとの差異化を図りやすかったそうです。また,「新たな営業スタイルを切り開こう」という思いで,意欲的に仕事に取り組めたと言います。

 「自分の得意分野って何だろう」と思案されている学生の皆さん。得意分野は思わぬところにあるかもしれません。「自分は苦手」と思っていることにも,あえてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。