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 世界に通用するグローバルな日本の産業は何か――おそらく、多くの人は自動車産業あるいは電機産業を頭に思い浮かべることだろう。この二つの産業が戦後の日本の復興過程において、極めて重要な役割を果たしたのは事実だが、もう一つ、忘れてはならないグローバル産業がある。それはゲーム産業だ。

 家庭用ゲーム機の産業はまだ歴史が浅い。1983年7月に任天堂の「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」が誕生してから四半世紀あまりで、その産業規模は2兆円ほどに膨れ上がった。日本から生まれた新たな産業というアドバンテージを生かし、ハードにしてもソフトにしても、日本はグローバル競争において圧倒的な強さを発揮してきた。ところが、である。このところ、海外勢にお株を奪われつつある。

 こんな危機感を背景に、日本を代表するゲーム・ソフト会社5社のエグゼクティブが一堂に会し、ゲーム産業の未来を語り合う場があった。「東京ゲームショウ2009」の初日のパネル討論会にて、ゲーム業界に檄を飛ばしたのは下記のパネリストである。

辻本 春弘氏カプコン 代表取締役社長
北上 一三氏コナミデジタルエンタテインメント 取締役副社長
和田 洋一氏スクウェア・エニックス 代表取締役社長
吉田 修平氏ソニー・コンピュータエンタテインメント SCEワールドワイド・スタジオ プレジデント
鵜之澤 伸氏バンダイナムコゲームス 代表取締役社長

 司会役を承った私がこの面々に最初に投げかけた質問は、「リーマンショック後、100年に一度といわれる未曾有の不景気がゲーム業界に与えた影響は何か」という点だった。世の中全体で「消費意欲が通常の6割まで減退した」といわれる中で、各社の業績は安定しているようだ。パネリストは異口同音に「ヒット作が出るかどうかがすべてで、景気の影響はほとんど受けない」と、力強く回答した。「では、未来永劫、ゲーム業界は安泰か」との質問に対しては、多くのパネリストが「中長期的な成長には強い危機感がある」とのコメントだった。その主因は二つある。一つは、海外勢がゲーム産業に本腰をあげ始めたことで、日本の存在感が相対的に小さくなりつつあること、そして二つ目は、定番ソフトは引き続きヒットを飛ばしているが、新しいカテゴリーのゲーム・ソフトが生まれていないことだった。