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 私は現在,こうして出版社で働いているが,今から20年ほど前の学生時代は理系学生の端くれとして,当然のことながらメーカーへの就職も考えていた。卒業論文と修士論文はセラミックスに関する内容だったので,「メーカーに就職するのであれば,材料メーカー」と漠然と考えていた。情報収集のため,材料メーカーに就職したOBの方々に,研究室のOB会などの場でいろいろな話を聞いたりもしていた。ただ,それは「研究室の先輩」というごく限られた方から聞いた話であり,それがメーカーや研究者,エンジニアのすべての実体を表しているものではない。「もっと他の企業の方から話を聞けたり,そのメーカーが作っている実際の製品を目にできたりすれば,いいのになあ」と思っていた。

 そこで,足を運んだのが「新素材展」という材料関連の展示会である(今は開催されていないようである)。インターネットもない時代,どうやってそのような展示会の存在を知ったのか,今となっては覚えていない。ただ,大学4年のときに同じ研究室の仲間と行ったことは,今なお覚えている。

 そのころは,まだ幕張メッセもなければ,東京ビッグサイトもない。新素材展の開催場所は池袋サンシャインシティだった。展示会場内に入ると,どのブースも明るい電飾などを施していたためか,暗い(?)象牙の塔にいた私からすれば,別世界の印象を受けた。当時は超電導セラミックスが大ブームだったこともあり,具体的な数字は分からないが多くの展示企業と入場者がいた(弊社でも当時,「日経ニューマテリアル」という材料関連の雑誌を発行していたくらいである)。

 展示会を通じてもっとも印象に残ったのが,自分の知らないメーカーがたくさんあったということ。名だたる大手企業はもちろん知っていたが,「こんな企業もあったのか」「この企業が,この製品を作っていたのか」などなど,学生からすればとても新鮮だった。そして各ブースを見学していて,とても楽しかった。翌年の大学院1年のときは,一人でこの展示会に行ったほどである。

 たぶん学生の皆さんが思っている以上に,世の中にはいろいろな企業が存在している。就職を考える際はどうしても大企業などに目を奪われがちだが,知らない企業,小さな企業の中にも面白いことを手掛けているところはたくさんある。そういった企業を“発見”できる有効な手段の一つは,展示会に行くことだろう。各ブースには説明員として,エンジニアもたくさん来ている。彼らと話すことで,そのメーカーの一端を知ることも可能だ。

 秋を迎えた今,今年もいろいろな展示会が開催される。例えば10月6~10日には最先端IT・エレクトロニクスの総合展「CEATEC JAPAN」,10月24日~11月4日には未来カーなどが多数展示される「東京モーターショー」,10月28~30日には液晶ディスプレイや環境関連技術の展示会「FPD International 2009/Green Device 2009」など目白押しだ。どれでも構わないので,興味のある展示会に実際に足を運んでみることをぜひお薦めしたい。新たな発見があると思う。ちなみに展示会ではないが,我々も10月10日に理系学生向け仕事研究イベント「だから,エンジニアはおもしろい!」を開催する。こちらにもぜひ来ていただき,皆さんのお役に立ててもらえれば幸いである。