PR

 9月3日にオープンした新しいオフィスビル「丸の内パークビルディング」。その商業ゾーンに誕生した「パスザバトン」というお店が注目を浴びている。1階部分の中庭という最も目立つ場所に建てられたガラス張りのこのお店、実はリサイクルショップだ。

 店内に一歩入ると、おしゃれな雰囲気が漂う。従来のリサイクルショップが持つどこが雑然とした雰囲気はない。陳列棚には、衣類や洋食器、菓子、雑貨など約1600点が並べられている。

「パスザバトン」には多くの商品が所狭しと並べられている(写真:丸毛 透)

愛着のある商品を出品する

 ここで扱われている商品はただ使い古したり、着古したりしている商品ではない。もともとの使用者が愛着を抱いていた商品だったり、既存の商品に一手間かけたものだけが出品されている。出品者の思いが書かれたメモも添えられている商品もある。古着のシャツには刺繍が施されていたり、真っ白な陶器には絵が描かれて販売されている。「自分が大事にしているものを持ってきてほしいと呼びかけた」と、この店舗を運営する遠山正道氏は言う。

 実は遠山氏は「スープストックトーキョー」というスープ専門店を運営するスマイルズの社長でもある。

 スマイルズは2000年、新しいファストフード店を誕生させたいと三菱商事の社内ベンチャーとして誕生した。この丸の内パークビルディングの前身は三菱商事ビル。遠山氏はそのビルに約10年勤務した経験もある。そんな自ら愛着のある場所ということが「愛着を持っている商品を販売する店」を開発したきっかけの1つだ。

 さらに遠山氏が日頃から抱いていた思いが、このリサイクルショップを生み出すことにつながった。かねて物が溢れ、簡単に捨てていくという社会に疑問を抱いていたのだ。

 「物を大切にする日本人の精神性やセンス、カルチャーをうまく機能させたいと思った」と遠山氏は語る。

 自分の愛着がある商品をバトンのようにほかの人に渡す。「パスザバトン」という店名はこうした思いに由来している。月間の目標売上高は600万円程度を見込んでいる。

下取りサービスも人気

 既にリサイクルは“ダサい”ことではない。そんな認識を商機に結びつける動きがファッション業界でも出ている。アパレル大手のオンワード樫山では、この9月から全国の13店舗の百貨店で下取りサービスを実施する。

 過去に購入したオンワード樫山ブランドの衣料品を持ち込めば1050円のクーポン券が配られる。オンワード樫山では商品として魅力のある古着は東南アジアなどで販売し、それ以外は裁断して毛布などに作り替えて、販売する予定だ。実はこの下取りサービス、低迷する消費を刺激する役割も担うという。

 先行して始めた百貨店の店舗では、既存ブランドの売り上げが前年同月比35%増となったという。売り上げ低迷が続く百貨店では驚きの数字だ。

 クーポン券がもらえると言うだけではなく、「世の中にとっていいことをした」といった満足感が人々の消費意欲を喚起する。

 リサイクルは環境にも、企業にとっても、消費者にとってもおいしい。盛り上がらない消費への一石三鳥ともいえるカンフル剤なのかもしれない。