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 家族が集まるリビングルーム。中央に鎮座するのはテレビと地球儀--。そんな光景が広がる家庭がじわじわ増えている。主役はエポック社が2009年7月に発売した「TV地球儀」だ。

 地球儀の本体と自宅のテレビをケーブルでつなぎ、付属のペンで地球儀をタッチする。テレビ画面にはタッチした国の特徴や首都、世界遺産などの情報が画像とともに映し出される。

大人の知的好奇心もくすぐる

 地球儀というと子供の教材とのイメージが強いが、この商品は、本体下に内蔵されている引き出し式キーボードを使えば、収録されている情報をキーワードで検索することもできる。ニュースに登場した国の位置や基本情報などを確認する簡単な事典としても利用可能だ。

 また、「子供は『欲しいかどうか』を直感的に判断するが、大人は『金額に見合うクオリティーか』をシビアに見極めたうえで購入を検討する」(エポック社ゲーム・トイ事業部マネージャー武藤明氏)。そこで、地球儀本体には子供に人気の昆虫や太古の恐竜の情報を図鑑として盛り込む一方で、世界遺産情報なども搭載し大人の知的好奇心をくすぐる商品に仕上げた。

 地図情報のほか、世界の国当てクイズなども含めて合計14のモードを搭載。3万6750円と地球儀の中では高額ながら、発売当初から店頭でのデモ販売に力を入れた結果、「発売当初は売り上げ予想の約2倍の売れ行き」を見せた。年間売上数は約3万個を見込む。

地球儀本体と自宅のテレビをつなぎ、地球儀をペンタッチすると、その場所の情報が画面上に現れる。世界遺産や昆虫情報なども搭載
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新学習指導要領が購入を後押し

 音声ガイド付きの地球儀は、2007年に学研トイズ(2008年に解散)やタカラトミーが一時的に発売していた。だが、球体の製造を中国の企業に委託したところ、発売後に台湾が台湾島と表記されていたことなどから、販売中止に追い込まれた経緯がある。

 市場形成には至らなかった多機能型地球儀の発売に再び挑んだのが、2000年前後から体感型の野球ゲーム「エキサイトスタジアム」など、テレビにつないで楽しむ玩具を手がけてきたエポック社だった。

 折しも、書店では歴史情報などを盛り込んだ情報集約型の地図が人気を集めていた。テレビと地球儀をつなげば紙媒体より豊富な情報を盛り込める。各国の雰囲気が伝わる画像を搭載することで未知の国への想像も膨らみ、海外旅行感覚で飽きずに楽しめる。再チャレンジする価値は高いと判断した。

 球体の製作は、1937年に創業した地球儀や星座早見盤の老舗メーカー・渡辺教具製作所に依頼した。玩具とはいえ、地球儀は教材として使用できるものでなくてはいけない。「開発段階では文部科学省や外務省の監修を受け、情報の精度を高めるよう万全を期した」(武藤氏)。

 2008年に文科省が発表した「新学習指導要領」が売れ行きを後押しした。社会科の授業で地球儀を活用するようにとの指導が記載されて以来、市場では地球儀の価値を再認識する機運が高まった。まさに「時代が後押ししてくれた」(武藤氏)ヒット商品と言える。

 海外旅行に行く金銭的・時間的余裕がなくても、テレビ画面を見ながら会話を交わすことで家族旅行気分が味わえるTV地球儀。節約志向の高まりや“巣ごもり消費”の傾向が指摘される中、クリスマス商戦に向けて一段の販売増が期待される。