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 クルマで米アップルの「iPod」を聴くための機器が売れている。再生された音楽をFM電波に変え、ラジオで楽しむ「FMトランスミッター」だ。

 iPodに代表される内部メモリー型音楽プレーヤーは、その手軽さから、すっかりオーディオ機器の主役に定着した。クルマにも持ち込みたいと考えるのは自然な流れだが、難点は接続ジャックがないクルマが多いことだった。簡単にその問題を解決してくれるのがこの製品だ。

充電できるタイプが人気

 クルマのシガーソケットを電源にして、iPodにつなぐだけ。あとは好きな周波数を選んだ後、FMラジオをその周波数に合わせれば音楽が聴ける。カー用品店でも売られているが、音楽プレーヤーのアクセサリーとして、家電量販店でも扱っている。

 手軽さだけでなく、手頃な価格も人気を支えている。売れ筋価格は2000~3000円で、安いものなら1000円台で買える。プレーヤーの電池の心配をしないで済むため、充電もできるモデルが人気だ。ソニーの「ウォークマン」や携帯電話に対応したモデルも販売されている。今年は「高速1000円」などの政策も追い風となっているようだ。

特別な装備もスペースも必要ない(ロジテックの「LAT-FMi03」)
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 最大手の一角であるロジテック(東京都千代田区)によれば「昨年末にバッファローコクヨサプライ(名古屋市南区)が参入して、一気に市場が拡大した」という。それ以降も販売は好調で、前年同月比で2割から3割の伸びを続けている。普及に伴い、価格もさらに安くなっており、リサーチ会社のGfKジャパン(東京都中野区)によれば、家電量販店での平均販売価格はこの1年で600円も下がった。

シンプルさを売りにするバッファローコクヨサプライの売れ筋「BSFM05」
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 家電量販店ではロジテックとバッファローが3割ずつのシェアを持つ2強だが、カー用品店では流通経路が全く異なるため、2社の製品を見る機会は少ない。オートバックスセブンによれば、「セイワ(東京都江戸川区)など、昔からカー用品を扱ってきたメーカーが強い」という。

 FMトランスミッターの課題は音質だ。電波に変換する際の音質向上に努めているが、どれだけ元が高音質でも、ラジオ並みの音質に劣化してしまう。もっともFM程度の音質でも十分で、便利さの方を優先したい人にとってはさほど気にならないようだ。

必要としない新型車も…

 「これから発売する新モデルは、携帯音楽プレーヤーを使えるようにしていく」(トヨタ自動車)といい、自動車メーカーも対応を進めている。今年発売した新型「プリウス」には、ケーブル1本で車載オーディオに接続できる入力端子を標準搭載した。

 もともと、「FMトランスミッターは自動車が消費者ニーズに対応するまでのつなぎとしての製品」(ロジテック)として開発している。確かに、iPodで音楽を聴きたいがために、クルマを買い替えるケースはまずないだろう。しばらくはFMトランスミッターの需要は見込めると見られる。

 あと1カ月もすれば年末年始の帰省ラッシュを迎える。年始は高速料金の値下げで例年以上の渋滞が予想されるが、お気に入りの音楽がたっぷり入った携帯音楽プレーヤーが、車中の雰囲気を多少は和ませてくれるかもしれない。