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前回から続く)

 では,皆さんを迎える側となるメーカーなどの技術者の実態について述べたい。『日経ものづくり』が2009年3~4月に実施したアンケート結果によると,「技術者の実力として大切なものは何だと思うか」という問いに対して,「課題解決に必要な技術を探し出す能力」を挙げた人が最も多く,33%程度に上った。「工学的な基礎知識」や「担当分野における専門知識」などよりも,重要と位置付けている。

新人技術者に足りないもの

 「新入社員に対して不足しているものがあるとすれば,それは何だと思うか」という問いについては,「工学的な基礎知識」よりも,「課題発見能力」や「粘り強さ」などが上位を占めた。「コミュニケーション能力」の不足も指摘されている。チームの輪を乱す発言をしばしばするとか,他人を気にすることなくいつも自分勝手な行動をとるなど,基本的なコミュニケーション能力に欠けている人は技術者というよりも,社会人としていかがなものか,という感じがする。社会に出ると,円滑な業務遂行のために社内外を問わず,人間関係がいかに大切であるか,技術者たちは痛感しているのだろう。

新入社員に不足しているもの
新入社員に不足しているものは何か
技術者たちに「新入社員に不足しているものがあるとすれば,それは何だと思うか」と聞いたところ,「工学的な基礎知識」よりも,「課題発見能力」が不足しているとする回答が多かった。「粘り強さ」や「コミュニケーション能力」といった,一般的な学力とは関係ない項目の回答も多い。有効回答数は1582。詳細は『日経ものづくり』2009年5月号を参照。

教育制度の充実図る企業も

 「最近の新入社員は学力が低下している」と指摘する声もよく聞く。ある大手自動車関連メーカーでは,大卒および大学院卒の技術系新入社員に対して,過去3年間同じ基礎学力テストを行った。内容は小学校高学年から中学1年レベルの算数・数学,理科である。結果は,3年連続で平均点が下がったという。

 こうした事態を受けて,社内教育に力を入れるメーカーが増えている。新人とは限らず,入社3年目くらいまでの若手技術者を対象とするものも多い。実は,これらの社内教育を実施する背景には,基礎知識の向上とは別の狙いもある。製品のブラックボックス化やデジタル化が進み,製品の内部構造が見えにくくなってしまったため,それをきちんと理解してもらおうという意図だ。